20日が30歳誕生日のソフトバンク東浜巨投手が、自身初の開幕投手の役割を果たした。ロッテ相手に5回2安打無失点の好投。持ち前の粘りの投球で試合を作った。

プロ8年目。しかも当初の予定から3カ月遅れで巡ってきた開幕マウンドに力がこもった。「開幕戦という自分が経験したことがないマウンドで、いつも以上に力が入ってしまいました」。相手の先頭打者は昨季までの同僚、福田秀。4球目に自己最速の154キロをマークするなど飛ばした。

母と姉が看護師。コロナ禍の中、医療従事者の仕事がいかに大変かを、緊急事態宣言で自主練習を続ける日々で感じた。「いろんな人へ感謝を込めて投げたい」。言葉通りの快投だった。

初回、2回は3人斬り。3回は2死一、三塁のピンチを背負ったが、甲斐の盗塁阻止もあり、ホームは踏ませない。4回1死一、二塁ではマーティンを一ゴロ併殺打に打ち取った。5回は再びギアを上げ1死から井上、田村を連続三振に切った。「練習試合でも長いイニングを投げることができていなかったので、少しバテてしまいましたが、無失点で中継ぎにバトンを渡すことができたことは良かったと思います」。球数も95球となり、この回で降板した。

大役を託した工藤監督も「すごい責任を自分の中で背負ってマウンドに立ったと思います。丁寧に低め低めに投げて抑える姿は頼もしく感じました」と評価。千賀が故障で不在の間、柱として投手陣を引っ張っていく。東浜は「球数もイニングもまだまだ増やしていかないといけないし、これからも自分ができることを続けていきたい」と端正な顔を引き締め、次を見据えた。【山本大地】