ロッテ石川歩投手(32)は、開幕投手にふさわしい見事な投球だった。

1回、ソフトバンク上林に投じた今季の初球は、代名詞のシンカーだった。上林から逃げるように落ち、空振りを奪った。その後も「ポイントです」と警戒していた柳田、バレンティンら強打者のタイミングを崩し続け、6回2安打無失点と文句なしの投球。「田村が本当にいいリードをしてくれたと思います」と相棒に感謝した。

12日の西武戦では4回8失点。高めのシンカーを山川に3ランにされるなど、山賊打線に痛打を浴びた。「手ごたえがないので。不安しかないです」と開幕前日も言葉少なだった。「変化球が浮かないように」と強い意識で大舞台へ。1週間で見事に修正し、結果も出し、エースとしての存在感を示した。

初回のロッテ攻撃中、ベンチ前でキャッチボールしながら二度、三度と水を口につけた。周囲にも緊張は伝わっていたが、マウンドに向かえばいつも通り淡々と。活動再開後は最長4イニングにとどまっていた右腕が、ペースに乗って、6つの「0」を並べた。敗れたものの、井口監督も「球も強かったですし、攻めた投球をしてくれて、非常にいい投球だったと思います」とたたえていた。【金子真仁】