やっと出たで~。不振に苦しんでいた阪神ジャスティン・ボーア内野手(32)に待望の来日初安打が飛び出した。ヤクルト戦(神宮)の7回に、中前にクリーンヒット。開幕から19打席目の快音だった。再び借金「3」で単独最下位となったが、逆襲のボーアがチームを上位に引き上げる。

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長いトンネルをようやく抜け出した。中前に打球が弾んだ。ボーアは一塁ベース上で照れた。記念球を要求し、三塁側ベンチに向かってガッツポーズ。続けて、サムアップポーズも繰り出した。矢野監督ら首脳陣からも笑みがこぼれる。開幕から19打席目。悩める助っ人が、来日後初めて電光掲示板に「H」ランプをともした。

5点を追う7回1死、ヤクルトの右腕清水の4球目だった。外角の135キロツーシームに、体勢を崩しながらうまくバットを合わせた。打球は中堅手青木の前でワンバウンド。「もちろん勝てれば良かったし、負けたことの悔しさが強いけれど、まずは1本打てたことは良かったね」とホッとした様子だった。

開幕から不振が続き、21日の巨人戦から4番を外された。前日23日には83年にバースが記録した球団新外国人ワーストの開幕15打席連続ノーヒットを更新。スタメンでただ1人安打がなかった。この日も1、2打席は凡退していた。

悩める助っ人を支えているのは井上一樹打撃コーチだ。試合前練習のフリー打撃後には、身ぶり手ぶりでボーアと話し込む日々。得点機の打席で、苦手な左腕との勝負になればベンチでアドバイスも送った。ボーアは「相手投手をどう打っていくかということをアドバイスしてもらっている」と明かす。結果を残すために二人三脚で取り組んできた成果がようやく表れた。

チームは投打で精彩を欠き、2連勝ならず。再び単独最下位となった。「とにかくシンプルにもっと勝ちたい。そのために自分の仕事をして、チームに貢献していきたいね」。記念球を受け取ったボーアは逆襲を誓う。まだシーズンは始まったばかり。この1本をきっかけに、B砲の爆発に乞うご期待だ。【只松憲】

▽阪神矢野監督(ボーアについて)「気分が上がっていってくれるのを、願っているというか、楽しみにしたいなと思います。まだ自分のタイミング、ポイントでしっかり振れるという回数がもっと増えてきてこないと。この1本で変わってくれるきっかけになってくれたらと思います」

▼ボーアが来日19打席目にしてようやく初安打。史上最強助っ人バースの83年15打席無安打を超えていた。そのバースは85、86年と2年連続3冠王。ボーアも続きたい。

▼近年の成功した外国人野手では、マートンが開幕戦10年3月26日横浜戦で2打席目に早くも初安打となる三塁内野安打。ゴメスも14年開幕戦の3月28日巨人戦2打席目に左翼線二塁打を放っている。