この男のパワーは計り知れない。ソフトバンク柳田が推定飛距離150メートルの「天井直撃弾」でチームを勝利に導いた。

「いいスイングをしたいなと思って、打席に入りました」。6回2死走者なし。オリックス田嶋のカウント2-2からの138キロ直球をフルスイングした。打球は高々と舞い上がり、右翼天井の「スーパーリング」と呼ばれる白い円状の構造物の照明付近を直撃し、右翼フェンス手前に力なく落ちた。超特大の9号先制ソロに「完璧でした。(打球が)途中で見えなくなって、あれと思ったが、審判の方が手を回していたのでよかった」と笑みを浮かべた。

「いい投手なので厳しい球がきたら仕方ないというくらいだった。甘い球がきたらしっかり打てるようにと思っていた」。唯一かもしれない失投を見逃さなかった。15年交流戦のDeNA戦では横浜スタジアムのスコアボードのビジョンを直撃する145メートル弾を放った男が、またひとつ「伝説」をつくった。

19日にオリックスに勝ち、楽天が負ければ同率首位で並ぶ。天井弾で頂点が見えた。「みなさんの熱い声援で打球が飛んでいったので、明日も声援をお願いします」。頼もしい男のバットがチームを首位に導く。【浦田由紀夫】