「やられたら、やり返す。倍返しだ!!」。巨人岡本和真内野手(24)がドラマ「半沢直樹」の流れに乗った。

同点に追いついた9回にリーグトップタイの決勝9号2ラン。19日から開始したTBS日曜劇場「半沢直樹」が地上波で流れる同時間帯、横浜の地でも“大逆転”の一撃をかました。チームは今季初の6連勝。貯金も最多の9に伸ばした。前日に自己ワーストの5打席連続三振を記録した男が「10倍返し」をお見舞いした。

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銀行員ではない。背広は専ら移動時。名も「半沢直樹」ではない。メガバンクの行員ではなくとも、同じく威厳ある巨人軍の89代4番。岡本だ。午後9時21分。TBS日曜劇場「半沢直樹」の続編が始まって21分後だ。昨季まで2年連続30発以上を放っている2代目若大将にも、意地とプライドがある。「もちろん容赦はしません。10倍返しです」と乗り移ったかのように、フルスイングした。

横浜スタジアムの大型ビジョンに、堺雅人は映っていない。スコアボードが表示されているだけ。それでも地上波に流れる「やられたら、やり返す。倍返しだ!!」の雰囲気が舞い込んだ。1点を追う9回。先輩坂本が出塁し、丸の内野安打の間に、増田大の神走塁で同点に追いついた直後の2死一塁。岡本も諦めなかった。右翼へリーグトップタイの9号2ラン。「最後打ててよかったと思います」と形勢をひっくり返した。

抱えた“負債”を倍返しだ。17日の同戦で3打席連続三振、18日の同戦も2打席連続三振。18年に記録した自己ワーストの4打席連続を更新した。この日も第4打席まで凡退。関係ない。最後に相手をあざ笑うだけ。信頼し、4番で使い続けてくれる“上長”の原監督に「施されたら、施し返す。恩返しです」と言わんばかりの1発。原監督に「ねえ、ずっとためてたのかな?」と言わしめた大どんでん返し。巨人ファンの“視聴率”を独占した“主役”。チームを今季初の6連勝に導き、貯金も今季最多「9」の残高を示した。【栗田尚樹】

▽巨人原監督(岡本の決勝弾で6連勝) 大事なところで1本出たというのは大きいですね。勝ち越すということも大きいけど(3連戦を)3つ取るのは大きいですね。

◆ドラマ「半沢直樹」 最新作は直木賞作家池井戸潤氏の半沢直樹シリーズの小説「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」の映像化。13年7~9月に放送された前作では半沢が、東京中央銀行内での数々の不正を苦境に陥りながら、解決していくストーリー。ドラマ内の半沢直樹の名言「倍返し」は流行語大賞にも選出されるなど、社会現象化した。