筒香さん安心してください! DeNAの「とにかく明るい4番キャプテン」が横浜の夜空に歓喜のアーチをかけた。佐野恵太内野手(25)が9回1死満塁、広島一岡から逆転満塁サヨナラ本塁打を放った。10年ハーパー以来、球団では10年ぶりの殊勲打。開幕4番打者では最も遅く本塁打を放ってから3戦連発の好調ぶりだ。昨年まで4番主将を務め、日本時間の今日25日に開幕を迎えるレイズ筒香嘉智外野手(28)をほうふつとさせる活躍だ。

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「つなぎの4番」佐野が、土壇場で大仕事をやってのけた。9回、1点差に詰め寄り、なお1死満塁。一岡の4球目、抜けたフォークをためらいなく振り切った。「外野の頭を越えろと思いながら走ってました。風と声援で伸びたと思います」。打球は制限ギリギリ、4989人の声援にも乗り「I☆YOKOHAMA」のビッグフラッグが掲げられた右翼席に吸い込まれた。

バンザイでホームインすると、ナインから少し控えめなウオーターシャワー。本拠ハマスタで2日連続のお立ち台では「最高です!」と笑顔を見せた。

「新キャプテン」としても仕事をしていた。22日ヤクルト戦(横浜)前の全体ミーティング。6連敗中の厳しい状況で、選手らを前に声をかけた。「こういう時だからこそ、僕たちベイスターズらしく、雰囲気良く戦いましょう!」。いつも底抜けに元気で笑顔の主将の一声で、チームは明るさを取り戻した。試合は引き分けに終わったが「それから昨日勝って、勢いづいたのかなと思います」と振り返る。

「4番」も「キャプテン」も偉大な先代筒香から引き継いだ重責。昨季は主に代打の切り札で、オリジナルの応援歌もようやく出来たばかりの25歳が役目を果たしている。この日はチャンスで待望の応援歌が流されたが「他の選手のは聞いていましたが、自分の打席では集中していて聞こえなかったです」と笑う。現実の応援団による演奏はしばらく先になりそうだが「みんなが覚えて歌ってもらえるように活躍していきたいです」と力強く話した。

佐野を大抜てきしたラミレス監督も「こういうことが出来ると信じていたからこそキャプテンに任命した。それだけの能力があるし、これ以上出来ると思っている」とたたえた。これでチームは5連勝を飾った6月26日以来、1カ月ぶりの2連勝。お立ち台ではインタビュアーの「今後もホームラン期待していいですよね?」の声に「しないでくださ~い!」とおどけた佐野。ファンの期待も、チームでの存在感も、高まるばかりだ。【鈴木正章】

▼佐野がスコア5-6から逆転満塁サヨナラ本塁打。満塁サヨナラ本塁打は7月2日村上(ヤクルト)以来86本目で、DeNAでは10年7月18日ハーパー以来10本目。リードされた場面で打った「逆転」付きは13年5月17日畠山(ヤクルト)がロッテ戦で記録して以来、7年ぶり31本目(セは13本目)。DeNAの逆転満塁サヨナラ本塁打は5本目。

◆佐野恵太(さの・けいた)1994年(平6)11月28日、岡山市生まれ。広陵-明大を経て16年ドラフト9位でDeNA入団。昨季は自己最多の89試合に出場し、5本塁打、33打点、打率2割9分5厘。元ダイエー佐々木誠氏(現鹿児島城西監督)は伯父にあたる。今季推定年俸2400万円。178センチ、88キロ。右投げ左打ち。