ド派手に「大将」が復活した。21日から当たりが止まっていた日本ハム中田翔内野手(31)が25日、ソフトバンク戦(ペイペイドーム)の7回、勝ち越しの10号3ランを左翼席中段へ突き刺した。今季ハイペースで量産する本塁打は、10年連続で2桁に到達。22打席ぶりの安打が値千金のアーチとなり、序盤の6点差をはね返す大逆転劇の主役となった。

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復活の雄たけびが、敵地にこだました。中田は打った瞬間、スタンドインを確信した。3-6の7回、3四球に守備の乱れなどもあって、近藤の2点適時打で同点。直後の2死一、三塁で打席に立った中田は「全く仕事ができていなかったので…。コンちゃん(近藤)のタイムリーを見て気合が入った」。反応で捉えたソフトバンク椎野の初球のスライダー。左翼席中段に架けたビッグアーチは「久々に芯で打てた」。勝ち越しの10号3ランに、絶叫した。

福岡でため込んでいた怒りを、打球に乗せた。21日から始まったソフトバンクとの連戦は、前日24日まで4試合連続無安打、14打数無安打7三振と散々な内容。「フルスイングできる球を振っていない。本当に申し訳ない気持ちだった」と、首をかしげる日々が続いていた。栗山監督は「ああいう風に状態が悪くなると、なかなかホームランは打てないんだけど…。やっぱり、そういうバッターなんだね。それも、完璧だった」と、主砲の底力に感服した。

海の向こうでは、17年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で共に日の丸を背負って戦った筒香が、メジャー開幕戦で本塁打を放った。侍ジャパンでは4番筒香、5番中田と中軸を形成し「筒香が本塁打した日に、中田も打つ」と一部で話題になったことも。「彼は日本でもトップクラスのバッター。向こうでもゴウ(筒香)らしく、結果を残してくれることは間違いない」。弟分の姿に、いつも刺激を受けてきた。当時の再現とばかりに“アベック弾”でスランプ脱出のきっかけをつかんだ背番号6は「いい勝ち方ができたので、これからも1試合1試合、大事に戦っていきたい」と、上位浮上を見据えた。【中島宙恵】