打ち損じた感触通り、打球を目で追うことはなかった。西武山川穂高内野手はすぐにバットをにらみ、左翼ポール左へのファウルと確信。

しかし打球はスライス回転しながら、ポール直撃の13号2ランに。目を大きく見開いて驚いた。「打った瞬間はファウルだと思いました。でもスライスして入ってくれたのでよかったです。あんな感じでホームランになるのは、何年かに一度あるかないかだと思います」。感触と打球は一致しなくても、チームにとって価値ある1発となった。

3連敗中で迎えた1戦。自慢の山賊打線は6試合連続2ケタ三振でプロ野球タイとなる不名誉記録が続いていた。しかし、これはバットを振るからこそ。「ここ数試合、チームとして三振が多かったですが、もちろん三振でいいやと思って打席に入っているわけではなかったです。どうにかしようという思いが、逆に三振になってしまうこともありますし」。心境を吐露したが、12打席ぶりのアーチで、自然と答えに確信が持てる。

「追い込まれたらつなぐ意識を持とうということと、その一方で自分の良さは積極性だとも思うので『三振を恐れることなく』とまでは言わずとも、早いカウントから仕留められればいいと思います」。9回には初球をとらえ左前適時打を放った。この日の山賊たちの三振は計6。連続2ケタ三振試合記録を止め、連敗も3でストップした。チームを一夜にして4位に再浮上させたのは、山川だった。

▽西武辻監督(連敗を3で止め4位浮上)「ずっと大きいですよ。1勝は。少しずつヒットで精神的にも楽になって、打線が活発になってくれれば」