勝利を決めるのは、やっぱり、この男。8月6日の“ハムの日”に、日本ハムの背番号6が主役になった。西武6回戦(札幌ドーム)の1回1死一、二塁から、4番中田翔内野手(31)が左翼フェンス直撃の先制2点適時二塁打。リーグ2位の42打点で、チーム断トツとなる7度目の勝利打点を記録した。主砲の流れを呼ぶ一打で、チームは借金完済へ、あと1つ。再び4位に浮上した。

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試合開始から間もなく、いきなり見せ場がやってきた。1回1死一、二塁で打席に立った中田は、西武与座の初球、外のスライダーにバットを合わせた。ヘッドを効かせてはじき返した打球は、左翼フェンスへ一直線。「『行ってくれ』と思って走ってましたけど…あとちょっと届かなかった。片手1本ではあったけど、ヘッドを返して打った打球って意外に飛ぶので、行ってくれると思いましたけどね」。あと数センチでスタンドインという、フェンス直撃の先制2点適時二塁打に、少し残念がった。

現在、対戦投手の傾向によってバットを変えている。この日は、昨年と同じ黒と白のツートンカラーのバットを使用。「グリップが細いので、しっかり振りに行きたい時にいい。ヘッドが走るからね」。極度の不振から7月25日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)でグリップが太い横尾のバットを拝借。「太いグリップは安定感があるので、球の強い投手の時に使っている」。この日は技巧派の相手先発攻略のため、開幕時の同じバットに戻していた。

前日5日西武戦(札幌ドーム)では、3度得点機で打席がまわってきたものの、ことごとく凡退。1週間ほど前から、左手中指の付け根付近にできたマメに苦しみ、思い通りのスイングができなかったが「だいぶん気にならなくなった」という。タイムリーヒットは7月17日ロッテ戦(札幌ドーム)以来、16試合ぶりで、その間は、本塁打と犠飛でコツコツと打点を積み上げてきた。

現在リーグ2位の42打点。中田が挙げた勝利打点は、チームが勝った19試合のうち7試合にのぼる。「それだけチャンスで(打席が)回っているということ。打率は1割でもいいから、打点を増やしたい」。貪欲に得点を狙う4番は、反攻の夏へ目を光らせた。【中島宙恵】