カープ打線が5点差を追い上げる粘りをみせた。4回の松山竜平外野手(34)の中越えの号砲を皮切りに、菊池涼介内野手(30)、長野久義外野手(35)の3発攻勢に加え、主砲鈴木誠也外野手(25)の一打で試合を振り出しに戻した。連勝は「3」で止まったものの、この日の粘りは次戦につながるに違いない。

   ◇   ◇   ◇

松山の豪快な一振りから反撃が始まった。先発K・ジョンソンが3回5失点と乱調。暗雲たちこめる中で迎えた4回の攻撃。先頭の松山が高橋の140キロ直球を完璧に捉え、バックスクリーンへ2号ソロをぶち込んだ。「まず1点かえすことができて良かった」。続く会沢の四球を挟み、無死一塁から菊池涼が外角チェンジアップを右翼スタンドまで運ぶ4号2ランでさらに2点を追加。「チームにとって良い追加点になりました」。この回2発で2点差まで追い上げた。

勢いは絶好調男のバットにも追い風を送った。2点を追う5回、先頭の長野が高橋の外角145キロ直球をはじき返し、右翼スタンドへ運ぶ2号ソロで1点差まで追い詰めた。「風に乗ってよく入ってくれました」。長野は初回にも右前打を放ち、5試合連続マルチ安打、4試合連続打点とこの日も結果を残した。

追い上げムードは続いた。1点を追う7回、2死二塁から打席には4番鈴木誠。ヤクルト3番手マクガフの152キロ直球を左前に弾き、二塁走者ピレラが激走。同点の本塁を踏んだ。主軸中心の猛攻で、5点差を追い上げ、いったんは試合を振り出しに戻した。

粘りをみせたリリーフ陣が終盤に崩れた。ケムナ、菊池保、島内が無失点リレーで流れを作ったが、同点に追いついた直後の7回裏、5番手薮田が先頭の井野に三塁打を許し、広岡の犠飛で勝ち越しを許し、この回3失点。8回にもD・ジョンソンが1点を失い、再び開いたリードを追い上げることはできなかった。

連勝は「3」でストップ。しかし執念の粘りをみせた打線に佐々岡監督は「打者は粘り強くやってくれた。粘り強さが出てきている。諦めずにやってくれた。みんながつなぐ意識を持っていた」とたたえた。勝利は逃したが、序盤の劣勢でも決して諦めない粘り強さが、下位からの逆襲へとつながっていくはずだ。【古財稜明】

▽広島朝山打撃コーチ(対右の被打率1割2分2厘、対左の同2割7分のヤクルト高橋に右打者を並べた)「並べたというより、(全選手)コンディショニングが万全ではない。9連戦で体調面もあった。続けて出て長く離脱されても困る。スタッフ全員で話し合って決めている」