巨人原辰徳監督(62)が今季初の「オープナー」を採用し、延長10回引き分けに持ち込んだ。中継ぎが本職の宮国椋丞投手(28)を先発させ、2番手に本来の先発候補、今村信貴投手(26)を投入。宮国は2失点したが、その後7投手が無失点でつないだ。6連戦の3試合目だった6日の阪神戦では11点ビハインドの8回1死から野手の増田大を登板させ、勝ちパターンの救援陣を温存。打撃陣が7試合連続1ケタ安打と苦しむ中、リリーバーたちがキラリと存在感を発揮した。

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6連戦から、次週は5連戦に移行するタイミングで原監督が初の「オープナー」に踏み切った。10日からは開幕後初めて2日間試合(雨天中止を除く)がない。リリーフ陣を惜しみなくつぎ込める日曜日に、目まぐるしく試合を動かした。

先制2ランを許した先発宮国を2回で降板させると、2番手に今村を送り込む。今村が3イニング目の5回に無死一、二塁のピンチを招き、鍵谷にスイッチ。2死後左打者の高橋を迎え、左腕の大江を送り込んだ。宮本投手チーフコーチは「今日は全員使うと監督から言われていたので。企業の人事部にいた感じですね。どう配属しようかと。頭の中を一生懸命グルグル回転させていた」とプランを練り込んだ。

打線が7回に追い付くと、勝ちパターンの継投に転じる。楽天からトレードで加入した高梨が10試合連続無失点でつなぎ、8回、9回はともに「中3日」の大竹、中川が抜群の安定感を披露。6日の阪神戦、11点を追う8回に野手の増田大をマウンドに送り、勝ちパターンの投手の負担を減らした。勝利がなくなった延長10回は、7月に育成から支配下登録した田中豊が締めた。ブルペンに1人残しただけでの総力戦に、原監督は「よく我慢してたね。2点でね。よく我慢できたと思う」とねぎらった。

それだけに2点止まりだった打撃陣には奮起を促した。1番吉川尚、2番坂本は18打席、3番丸は23打席安打がない。同点打は代打に立った38歳のベテラン亀井の技あり犠飛。指揮官は「亀ちゃんは脚が本調子ではない。なかなか亀ちゃんの代わりの選手、超える選手が出てこない。1番バッターでクルクル三振してるようじゃ話にならない」と言った。「オープナー」から粘り、今季初の同一カード3連敗は免れたが、投打がかみ合う本来の姿を求めている。【前田祐輔】

◆オープナー事情 18年、レイズのキャッシュ監督がクローザーのロモを1イニング限定の先発として起用。その後、当初の予定通り、先発ローテの投手を2番手として投入したことから広まった。相手球団の上位打線が強力で初回の失点率が高かったためで、立ち上がりが不安定な先発が登板する際に多用された。

その後は、雨天による試合日程変更などで先発投手が不足した場合、ブルペンデーと呼ばれる救援投手だけによる継投も見られるようになった。メジャーの場合、基本的に予告先発である一方で、オープナーは試合直前まで未定。相手としては対策を練りづらく、機先を制する策としても広く定着した。

60試合の短期となった今季はダブルヘッダーが多く、過密日程でもあり、オープナーの起用法も拡大。打者が一巡する3回前後まで救援投手が先発として投げるパターンも増え始めるなど、オープナーの定義はないに等しい。【MLB担当=四竈衛】