ソフトバンクの番傘ならぬ「バンカサ」コンビが窮地を救った。中2日でこのカード2度目の先発となった笠谷俊介投手(23)が3回を無安打無失点。2番手の板東湧梧投手(24)も4回無失点でつないだ。楽天6連戦は2勝4敗で負け越したが、2勝ともこのコンビが勝ち取った。チームは同率首位に食らいつき、福岡に戻る。

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今週2度目のオープナー役を務めた笠谷は燃えていた。初回こそ2死一、二塁のピンチを背負ったが、5番島内を空振り三振。2、3回は3人ずつで抑え、3回まで無安打無失点。「こういうポジションでチャンスをもらえてありがたい。0でつなぐことができて良かったです」と役割を果たした。

2番手でバトンを受けたのは、2日前にプロ初勝利を挙げた板東だ。5回無死一、三塁も涼しい顔で切り抜け、7回までの4イニングを無失点。自身2勝目を手にし「笠谷がリズムよくいい流れで投げてくれていたので、それに乗せてもらいました」と振り返った。

チームにとって窮地だった。石川の登板間隔を空ける関係で先発枠が空いていたが、チームに新型コロナウイルスの感染者が出た影響でファームは5日まで活動休止。数日間は練習もできておらず、代役を昇格させることが難しい状況になっていた。その谷間を埋めたのが「バンカサ」コンビだ。

一緒にバス釣りにも出かける仲良しの2人は、このカードここまで唯一の勝利だった6日も、同じ順番で登板し2人合わせて5回1失点と試合をつくった。コンビ登板の日には笠谷が「0でつなぐので、ちゃんとお願いしますね」と板東の尻をたたくという。中2日のこの日は前回を上回る快投でチームの連敗を止め、貴重な今週2勝目をもたらした。

敗れれば楽天とのゲーム差は2に広がり、ロッテにも並ばれる状況だった。土俵際でなんとか粘り、同率首位のまま本拠地の福岡に戻ることができる。工藤監督は「中2日という中で2人ともよく投げたと思います。これから経験を積んでいってほしい」と目尻を下げた。【山本大地】