2点届かず敗れたが、8月10日の「山の日」に阪神の2つの「山」が躍動した。

まずは4番大山悠輔内野手(25)がプロ初の3試合連続アーチとなる11号ソロ。高山俊外野手(27)も昇格即スタメンに応えて今季初安打を含むマルチ安打を決めた。16年と15年のドラ1コンビが虎の逆襲を引っ張る。

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泳がされてクルリとしない。軽く合わせて流し打つわけでもない。大山は右足に体重を残したまま、外角カットボールを強く右翼に“引っ張った”。

2回表無死、右腕武藤から先制の11号ソロを決めた。低い弾道のまま右翼フェンスをオーバーさせ、プロ4年目で自身初となる3戦連発を記録。「昨日いい形で打つことができていた。その勢いのまま、いいスイングができました」。常に謙虚な若虎も思わず納得する、力強い1発だった。

5日巨人戦から7日広島戦まで14打数無安打。つい3日前の事実がウソのようだ。前日9日広島戦は二塁打で先制点の起点となり、勝ち越し三塁打を放ち、最後は左越えソロで勝利を決定づけた。単打1本が出ればサイクル安打の大暴れから一夜明け、広島から横浜に長距離移動したゲームも好調をキープした。

3点を追う6回無死一、二塁でも外角変化球に対応して適時打を放っている。右腕国吉に2ボール2ストライクと追い込まれながら、外角フォークを粘り腰で左翼フェンスに直撃させた。昨季までは外角変化球で仕留められる場面も少なくなかったが、今季は変わり身を披露しつつある。外角変化球を豪快に右翼席まで届かせる。4番にふさわしいスイングが頼もしい。

これで今季は岩貞先発試合8戦で26打数12安打の打率4割6分2厘、3本塁打、11打点。抜群の相性をこの日も継続させた。先制弾直後の2回裏には先頭打者の三ゴロをはじき、今季4個目の失策が失点につながった。それでも気落ちすることなく、反撃ムードを高める一打を決めた。

「山の日」。虎の「大山」は名前の通り、大きく成長を続けている。開幕直後はベンチスタートが多かった背番号3。あの頃から1カ月半が過ぎ、11本塁打は広島鈴木と並んでリーグ2位の数字だ。もう、「4番三塁」という重たい肩書に違和感がなくなっている。【佐井陽介】