広島長野久義外野手(35)が2打席連続二塁打で勝利に貢献した。1回は2死無走者から左翼線二塁打で松山の先制打をお膳立て。3回1死三塁では三塁線を破った。8月は先発8試合で6度目のマルチ安打で、月間打率3割8分9厘と勢いに乗る“夏男”が、9連戦勝ち越しへ導いた。

今季初先発の小笠原対策に朝山打撃コーチが指示した「まずはストレートに振り負けないようコンパクトに」を体現した。1回は内角への直球148キロに体を素早く回転。ムチのようにしならせたバットから放たれた打球が左翼線で弾んだ。3回も直球をコンパクトに振り抜いた。一塁ベースを蹴った直後に足がもつれかけたが、今年は転ばない。そこから加速し、二塁へスライディング。昨季に並ぶシーズン7本目の二塁打とした。

疲労がたまる夏場も球場入りを早め、特打やトレーニングで汗を流す。「体は元気です」。広報を通じて出した短いコメントが状態の良さを示している。首位打者も最多安打も受賞した打撃技術を持つ。男は口で語らず、バットで語る。朝山打撃コーチが「今すごく体が動いている。打線の中で頼もしい存在」と言えば、佐々岡監督も「本当に調子がいい。彼が打てばベンチの雰囲気が良くなる。引っ張ってくれている」とたたえる。“夏男”とともに、チームも8月に入り6勝3敗と上昇気流に乗った。【前原淳】