阪神が今年初めて水曜に勝った。立役者は中谷将大外野手(27)だ。プロ10年目で初めて2番で先発起用され、4回にDeNA浜口から逆転の3ランを左翼席へ運んだ。集中打によるこの回の5得点が効いて1点差で逃げ切り、8月初の連勝。5カードぶりに勝ち越し、3位に浮上した。9連戦を終え、14日からは京セラドーム大阪で広島と戦う。

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矢のような鋭い打球が、雨を切り裂き、左翼へ伸びた。4回に近本の適時打で1点差とし、なお2死一、二塁。中谷は浜口のチェンジアップをすくい上げた。「最高の結果になって良かったです」。今季2度目の先発で、逆転のV3ランの大仕事をやってのけた。

7月17日に1軍に昇格。8月6日巨人戦で代打満塁本塁打を放つなど、代打で10打数5安打9打点と結果を残してスタメンを勝ち取った。「しっかり準備できている。それがいい結果につながっている」。ただ、2番は10年目で初めて。矢野監督は「井上コーチが『2番どうですか』って言ってくれたから、じゃあいってみようか」と経緯を明かす。慣れない打順にも「全然関係ない」と臨んだ中谷だったが、1回1死二、三塁では佐野の右前打をファンブルして二塁走者の生還を招いた。「ヤギ(青柳)には迷惑をかけて、取り返すと言っていた。取り返せてよかった」。一振りで適時失策も帳消しにした。

17年に自己最多20発を放った男が、今春キャンプは7年ぶりに2軍発進。「ファームで過ごす時間が長かったですし、悔しさは持っていました」。北川2軍打撃コーチらが苦しい練習でも明るい雰囲気を作ってくれ、支えられた。「その中でいろいろ教えてもらった。感謝していますし、結果で恩返しすることができて良かった」。2軍首脳陣にもうれしい活躍だった。

9連戦の最終戦を勝利で締め、3位に浮上した。14日からは広島3連戦。矢野監督は「状態も上がってきている選手もいる。帰って京セラから『ヨシいくぞ』というところは、この勝ち越しで出来た」と言った。上り調子の1人、中谷が誓った。「休み明けのカード頭が大事。そこに必死に勝てるようにやっていきたい」。首位巨人を猛追するピースになるつもりだ。【只松憲】

阪神矢野監督(中谷の2番起用について)「井上コーチが『2番どうですか』って言ってくれたから、じゃあいってみようかということで」