ソフトバンク和田毅投手(39)がチームトップタイの4勝目で、チームに3連勝をもたらした。先発で6回までわずか1安打。自慢のスライダーに確かな手応えを感じ、ベテランの味を十分に発揮した。5三振を奪い、現役投手5位のNPB通算1598奪三振。積み重ねてきた経験で、今後も投手陣も引っ張っていく。

   ◇   ◇   ◇

ソフトバンク和田が、ベテランの技でオリックス打線を封じた。先発で6回2/3を投げて3安打無四球無失点。最速145キロの直球とスライダー、チェンジアップの変化球を織り交ぜて、凡打の山を築いた。6回まではわずか1安打。スキを見せなかった。

課題を克服した。「前回登板は先頭打者を出してしまったので、そこを気にして投げた」。降板した7回まで先頭打者は1人も出さなかった。「3回くらいから、コントロールが安定してきた。スライダー、チェンジアップが低めに決まりだした。特にスライダーがいつもよりよかった」。打者をまさに翻弄(ほんろう)する投球だった。

もうひとつ反省があった。前回の5日楽天戦(楽天生命パーク)で涌井と投げ合って今季初黒星。降板してグラブをベンチに投げ、悔しさを表に出した。「やってはいけない行為だが、自分でもそんな気持ちがあるんだと思った。今回は粘って投げ負けないようにしようと思った」。オリックス田嶋との我慢比べにも負けるわけにはいかなかった。

これでオリックスには通算で28勝8敗。20もの貯金をつくった。さらにこの日の5奪三振でNPB通算1598奪三振。節目の1600奪三振まであと2とした。歴代奪三振数は49位だが、現役投手としては5番目。奪三振率も8点台をキープしている。ベテランにはつらい夏場に突入したが、睡眠と食事に気を使う。「今の時期は特に免疫力も高めないといけない」と新型コロナウイルス感染にも最大の注意も払っている。5回攻撃中には、9番松田宣に「頼むぞ」と声をかけると先制の適時打を打ってくれた。同じベテランの気持ちにも応えたかった。

工藤監督は「ベテランらしく相手の狙い球をうまく外していた」と和田の投球を絶賛した。チームは3連勝で楽天と首位を並走。負けられない戦いは続くが、ベテラン左腕が先頭に立ってチームを鼓舞し続ける。【浦田由紀夫】