「亀井慎之助」が、一振りで仕留めた。3-3で迎えた9回2死一、三塁。代打にコールされたのは、巨人亀井善行外野手(38)。ヤクルトの5番手、マクガフの初球は高め150キロ直球。「1球ファウル打ったら負けくらいの気持ちで。今日は(母校)中央(大学)の(宮井)総監督の告別式だったので」と恩師を思いながら、きれいなセンター返しを放った。通算8度目のサヨナラ打で故人をしのんだ。

プロ16年目のベテラン。現在は足の状態が本調子ではなく、1日広島戦を最後にスタメンから外れている。先発出場には時間を要するが、ベンチからこのタイミングを待っていた。阿部慎之助2軍監督も昨年は、時には代打の切り札として、8月以降は5番に定着して優勝の立役者になった。11日の練習時、原監督が「亀井慎之助でいってもらうよ」と新たな名を授けた。亀井は「そう言われてから1打席目だった。こういう場面で打つのが仕事。10打席あったら10打席打つくらいの気持ちです」と先輩の魂を引っさげ、バットに込めた。

同2軍監督が、現役時代に愛用していた登場曲「September」が球場内に流れなくとも「慎之助コール」がなくとも、その百戦錬磨の精神は乗り移っていた。「亀井慎之助」。日本一となった02年に4度のサヨナラ打を放ち「サヨナラの慎ちゃん」と言われた大先輩に続けと言わんばかりに「サヨナラの亀ちゃん」として、首位のチームをゴールまで確実に引っ張る。「中央魂」を胸に刻みながら。【栗田尚樹】

▽巨人原監督(亀井のサヨナラ打に) 初球で仕留めたというのはもう見事ですね。切り札ですから。(亀井慎之助の命名通りの活躍に)故障して2打席とも2打点。価値ある打点ですね。

▽巨人増田大(9回無死一塁から代走で二盗を決め)「100%決められる自信があったので走りました」