ZOZOマリンの新名物“アレグロ拍手”が、ロッテの逆転勝利を演出した。4点を追う5回に田村、福田秀、マーティンの1イニング3発で1点差に詰め寄った。観衆4990人のボルテージを一気に上げた3人は「まだまだこれから」と声をそろえ、試合後半へと気を引き締めた。

空気ができれば、12球団屈指の熱いファンたちが心強い。声が出せないなら拍手。チャンスに、スタジアムのどこからか自然発生的に拍手が起きる。球場に響く音量は約75デシベル。誰かが始めた拍手は、うねりを大きくし、どんどん加速。メトロノームアプリで測定すると、最速で1分間に140回拍手できるテンポにまで至る。音楽用語で「速く」を意味する“アレグロ”の疾走感が、打線を後押し。同点の7回は拍手が鳴り続け、敵失に乗じ3点を勝ち越し。試合を決定づけた。

試合序盤は、右翼手マーティンが指揮者を務めた。先発岩下が勝負どころを迎えると、半身で振り返り、手を動かし、前夜に続いてファンに“マーティン・クラップ”を促した。球団主導の企画ではない。7月下旬の西武6連戦からファンが自発的に始め、今や選手を巻き込んでいる。

終盤にひっくり返し、Aクラスに踏みとどまった。1つの勝ち負けが勢いを左右しかねない混パで、粘り強さをみせる。井口監督は「今は順位より自分たちの野球をするのが大事」と話す。心を1つに、真夏のマーチをアレグロで奏でる。【金子真仁】

▽ロッテ田村(5回に1号ソロ) たまたまです。守りをしっかりやっていきます。

▽ロッテ福田秀(5回に2号ソロ) チームに迷惑を掛けてきたので、本塁打を1本打てて、勝つことができてよかったです。

▽ロッテ・マーティン(5回に13号ソロ) 甘い球をしっかり捉えることができたよ。YES、マーティン!