復調の兆しを見せていた阪神藤浪晋太郎投手(26)が鬼門の京セラドーム大阪で逆戻りした。広島戦に先発し、序盤から劣勢に立たされた。6回8安打4四球で6失点と精彩を欠く投球内容。1軍昇格から4連敗で白星が遠い。打線も元気なく、勝率5割復帰を逃した。

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藤浪はエンジンを吹かすタイミングを逸したのかもしれない。今季無双状態に近かったスプリットにも対応され、一気に苦しくなる。立ち上がりの打者5人で3失点。球場全体に高まっていた復活星への機運は一気にしぼんだ。

「初回、大事に入り過ぎたところを打たれてしまい、出ばなをくじかれてバタバタしてしまいました」

1番西川、2番羽月の2連打から1死一、三塁。4番鈴木誠に2球連続ボールで窮屈になる。1ストライク後、低めの146キロスプリットをミートされてリズムが狂った。左前適時打で先制点を許すと、5番松山にも2点二塁打を献上。今度は追い込んでから145キロスプリットをファウルで逃げられ、外角低めギリギリに投じたこの日最速155キロを左中間に運ばれた。

勝負した2球はいずれも失投とは言いづらいボール。何より今季空振りを奪い続けていたスプリットをとらえられ、ダメージを食らった。フォームにズレが生じたのか、腕が下がり、シュート回転した抜け球が増える。3回には3番長野への直球が頭部付近にすっぽ抜け、観客がざわついた。6回2死一、二塁では9番森下に三塁線を破られ、2点二塁打まで浴びた。

6回のうち4イニングで先頭打者を出し、6失点で今季4戦4敗。「自分の投球を取り戻す前に降板してしまい、チームに申し訳ないです」と猛省した。これで京セラドーム大阪で自身4連敗。通算10試合で3勝6敗、防御率5・17だ。四死球から崩れるパターンが目立つ球場で再び苦戦。2年ぶりの復活星はまたもお預けとなった。

今季は登板4試合で計3点しか援護がない。粘投が報われないケースが続いていたが、今回は違う。矢野監督は「やっぱり(初回)3点はちょっと重い。あの点の取られ方だと追いかける方もしんどい」と指摘した上で「自分で勝たすところは必要になってくる」と奮起を促した。誰もが完全復活を待ちわびる大器。次回、真価が問われる。【佐井陽介】

▽阪神福原投手コーチ(藤浪が6回6失点)「ストライクを先行できず、ボール先行になってしまった。(次回は)ストライク先行で力強い真っすぐを投げ込んでいってほしい。そういった真っすぐがあってこそ変化球も生きてくる」

<藤浪の京セラドーム大阪での主な出来事>

◆13年8月18日ヤクルト戦 プロ初の同球場登板は、6回2失点。江夏、堀内、松坂を超える「ドラフト高卒新人8月3勝」達成。

◆14年4月1日中日戦 打ってはチーム唯一の長打となる二塁打も、黒星。

◆同5月20日オリックス戦 交流戦開幕投手も、当時の自己最短となる2回KOで6失点。

◆15年3月29日中日戦 5回で降板ながら、プロ初のシーズン初登板勝利。

◆17年4月4日ヤクルト戦 プロ最悪タイの9四死球。5回畠山への死球で乱闘となり、阪神矢野コーチ(現監督)とヤクルト・バレンティンが退場。

◆17年8月16日広島戦 2カ月半の2軍調整から復活を期した。ところが2回に投手の大瀬良に死球を与え、4回には菊池にもぶつけ球場は騒然。7四死球と大荒れだった。