鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように、山賊たちがたたみかけた。西武は1点を追う5回、スパンジェンバーグが同点適時打を放つと、この試合で1カ月ぶりに1軍登録された9番金子が勝ち越しの投手強襲適時打。勢いに乗って新1番の高木がタイムリーで突き放した。

6連打で一挙6点。先発全員打点で今季最多の13得点。泥沼の7連敗から脱出した辻監督は「勝てたというだけで寝付きもよくなるだろうし、寝起きも爽快になります。自分のこと言ってるみたい、本当に」と勝利をかみしめた。

連敗の間、不振の主力を入れ替え山川を3番起用。その山川が負傷すると、中村、メヒアを据えた。7月30日の日本ハム戦から13試合連続でスタメンを変更する猫の目布陣。打線組み替えを、チーム浮上の布石としてきた同監督は、3連覇をかけた開幕前「そりゃあ、選手の中にプライドとかいろんなことがあるからね」と明かしたように、その1つ1つが大きな決断だった。

生みの苦しみから、白星と同時に新1番候補も現れた。レッズ秋山に代わる1番発掘が3連覇への絶対条件。実際に金子を加えると5人目となる二十歳の高木が、1番抜てき2日目に3安打2打点と連日の活躍。初のお立ち台で「プレッシャーはありますけど、その中で自分ができることを心がけてやっていきます」。若き山賊が仲間入りし厚みの増した打線が、ペナントレースの反撃ののろしを上げた。【栗田成芳】

▽西武金子(7月4日以来の1軍復帰で5回に勝ち越し打)「1軍の舞台で戦えてないというところでは歯がゆい思いはあったので。何とか戻って来られて良かった」

▽西武今井(4回から登板し2回4安打1失点で今季3勝目)「打線の皆さん、その後の中継ぎの皆さんのおかげです。皆さんに感謝です」