阪神ジャスティン・ボーア内野手が白球をインパクトした瞬間、「グシャッ」という鈍い音がドームに響き渡った。初回無死満塁で4番大山の併殺打の間に1点を先制した直後だ。なお2死三塁で、遠藤が投じた外角低めのチェンジアップに泳がされたが食らいついた。バットが折れ、破片が打席付近に散乱するほどの木っ端みじん。通常なら力ない飛球かゴロの打ち取られ方だ。だが、この男は違った。執念と力で右前へ運ぶタイムリーに変えて2点目をゲット。手元に残ったグリップ部分を持ったまま一塁へ走る珍しいシーンが展開され、その怪力にスタンドがどよめいた。

ボーア 先制した後でもう1点欲しい場面だったから、追加点を取ることができて良かった。

打撃不振に陥っていたが、前日の試合からフォーム改造を敢行。スクエアだった両足のスタイルを、右足を約1足分後ろに下げた。重心をやや低く保ち、体を少し開き気味のオープンスタンスにモデルチェンジ。メジャーでも試したフォームで早速、来日初の3打席連続適時打を放った。研究熱心で貪欲な助っ人は一気の復調モードをつかみ、勢いそのままこの日の第1打席で得点圏4打席連続のタイムリー。得点圏打率もリーグ6位の3割6分1厘まで上げた。

守備に就く前には大歓声を受け、深々と日本流のお辞儀で応えた。「熱い熱いファンの方々ということはよくわかっている。余計に自分自身『頑張らないと』と思うし、ありがたい限りです」。前日のお立ち台後にそう話していたボーア。バットは粉々にされても虎党を笑顔にした。

18日からは敵地で首位巨人と相まみえる。この日のドローで半歩迫って5・5ゲーム差。カード別打率は1割4分3厘で最も分が悪いが、上り調子のB砲への期待はますます高まる。今季2戦2敗の菅野らが先発してくるとみられるが、目指すは3連勝で一気の2・5差。勢いづいた打棒で、勝利を呼び込みたい。【只松憲】