収穫いっぱいだ。阪神は高橋遥人投手(24)の7回2安打1失点の好投を生かせなかった。

中11日で巨人菅野との投げ合い。4番岡本のソロによる1失点で踏ん張ったが、打線が散発3安打と援護に恵まれなかった。今季1敗目がついた左腕はエースと4番との勝負を糧に次戦に向かう。チームは東京ドームで開幕カードと合わせて4連敗。3位のままだが、首位巨人と6・5ゲーム差に広がった。

   ◇   ◇   ◇

レフトスタンドへ伸びていく打球を、高橋はぼうぜんと見送った。0-0の4回2死、4番岡本に真ん中高めに入ったツーシームを捉えられた。約1年前、昨年8月16日の東京ドームでも逆転2ランを浴びた相手。主砲へのわずか1球に泣いた。

「今日の出来はそんなにいいほうじゃなかった。この調子でも1点で抑えられたのはちょっと自信というか、粘れたかなと思います」。7回を投げて被安打2、許した失点はその1点のみ。試合開始から巨人のエース菅野に堂々と渡り合った。初回先頭の坂本を低めツーシームで右飛に打ち取ると、そこから4回2死までノーヒットだった。

菅野は3安打完封で8連勝を達成した。互角に投げ合いながらも、感じることがあった。「やっぱり見ててもすごいなと。1回から9回まで精度だったり(球の)強さというのは変わってなかった」。どんな状況でも、チームを勝たせる投球を続けるのがエースの姿だ。「中5日でやってきて、ああいうピッチングができる人がエースだと。タイガースだったら西さん。やっぱり質がいいです」。敗れはしたが、球界のエースとの投手戦は今後の財産になるはず。矢野監督も「菅野としっかり投げ合えたっていうのは、中身としてあったと思う。これからもまた投げ合うことも出てくると思うので、モチベーションにしてもらえたら」と願った。

前回6日巨人戦(甲子園)で7回無失点、自己最多11奪三振の快投を見せ、中11日で迎えたマウンドだった。「自分自身がいっぱいいっぱいだった。うまくいろんなボールを使ってもらって試合を作れた。あまり良くない時に、最少失点で抑えられたのは、そこだけは良かったかなと思う」。本調子でない中でも粘れたのは成長の証し。未来のエースを目指して1戦1戦を糧にする。【磯綾乃】