安定感抜群だ。阪神西勇輝投手(29)が7回3安打1失点の好投で今季4勝目を手にした。

今季10度目の登板で9度目のクオリティースタート(先発投手が6回以上を投げて自責点3以下)を記録。降板後もベンチ最前列で声を張り上げたエース右腕は「勝つと思ってましたんで、信じて待っていました」と笑顔。中継ぎ陣が猛烈な追い上げを食らう展開だったが、チームメートを信じてマウンドを見つめた。

変幻自在だ。1回1死から山田哲に中前打を許してからは、7回1死で村上に被弾するまでヒットを許さない完璧ピッチ。右打者に食い込むシュートなど左右を大きく使う持ち味のスタイルに加えて、4回には山田哲、西浦の右打者をチェンジアップで空振り三振。「状態はすごく悪かった。梅野のリードがあってこそ」と話したが、今季初対戦のツバメ打線を翻弄(ほんろう)した。

打席でもスタンドを沸かせた。3点リードの4回。2死一塁から右腕クックのカットボールを強振。右中間を破る適時二塁打で4点目をたたき出した。矢野監督も「あそこで追加点というのは大きなところだった。投打に西らしくというか、打撃もすごく大きかった」と投打のヒーローとしてたたえた。

練習中は積極的にバットを握る。「長いイニングも任してもらえるかもしれない。おろそかにする理由がない」。打撃技術を磨くことが、投球にもつながる。昨季は13犠打を記録。「バント? 目だと思う。150キロをバントしたときに速いと感じるか(感じないか)。それにメンタルもある」。バットを握っても妥協は一切ない。

自身2連勝と波に乗るが、自分のことよりもチームの連勝がうれしい。「点も入りましたし、いい流れだと思います。明日は秋山なので、いいバトンを渡せたんじゃないかと思う」。これで投球回数は両リーグトップの70回1/3に到達。真夏のロードも頼れるエースがチームを引っ張る。【桝井聡】