阪神が今季2度目のサヨナラ負けを喫し、連勝は3で止まった。3戦3敗だった広島ドラフト1位森下に今回も勝てなかったが、白星も与えなかった。敗戦の中で光ったのが大山悠輔内野手(25)だ。7回に森下から1点差に迫る13号ソロ。大型ルーキーの今季2被弾の相手はともに大山で、再び恐怖心を与えた。背番号3は猛打賞と発奮。再び勝率5割復帰を目指す戦いをリードする。

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前進守備を敷く中堅近本の頭上を、広島上本の飛球が無情にも越えていった。同点の9回1死一、二塁。先発西勇から粘ってつないできたバトンも、4番手岩崎がつかまった。3連勝中だったが、今季2度目のサヨナラ負けで再び借金1に逆戻り。先発森下をもう少し早く攻略していたら…、好機で追加点が取れていれば…。たらればは尽きないが、矢野監督は「勝負の結果は俺の責任で受け止める。たらればばっかり言っても仕方ないので。それは前向いてやるしかない」と、悔しさをかみ殺した。

3戦3敗で4度目の対戦となった天敵新人に、5番大山が意地を見せた。2点を追う7回先頭。球数が100球を超えた右腕の外角カットボールを左中間席に運んだ。5試合ぶりのアーチは、チーム単独トップとなる13号ソロ。森下は今季2被弾目で、1本目も大山が放っている。「何度も同じ投手に抑えられるわけにはいかないですし。西さんも粘って投げてくれているので、打てて良かったです」。前回対戦の14日(京セラドーム大阪)はチーム2安打でプロ初完封も許した。投手陣が粘る中、大山の意地の一打で接戦に持ち込んだ。

大山は森下から5回にも先頭打者で左前打。1死となって梅野の適時二塁打で一塁から一気に生還する激走も見せた。9回にはフランスアから右前打で、一時同点を演出し、今季3度目の猛打賞をマークした。2回の第1打席も安打性の当たり。右翼鈴木誠の頭脳的プレーでサンズが二塁でアウトとなってまさかの右ゴロだったが、敗戦の中で背番号3のバットは光った。チームが苦戦する森下には、通算12打数4安打と対応している。矢野監督は3安打の内容に「いいつなぎだったり、本塁打が出てきている。チームを引っ張っていくような選手になってくれたらと思っています」と、変わらぬ期待を込めた。天敵森下から4戦4敗は免れた。大山を中心とする打線の粘りが、明日の勝利につながるはずだ。【奥田隼人】