巨人沢村拓一投手(32)とロッテ香月一也内野手(24)のトレードが両球団で合意に達し、7日に発表された。10年ドラフト1位で入団した沢村は、今季は一時守護神として期待されながら7月に1軍登録を抹消され、異例の3軍降格も経験。巨人にとっては今季3例目のトレードで、推定年俸1億5400万円と650万円の年俸格差の大きな移籍で、将来性のある左の強打者を補強。沢村はパ・リーグで優勝争いをする新天地で剛腕復活を期す。

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プロ10年目、生え抜き右腕の沢村が巨人を去ることが決まった。

今季は13試合に登板して1勝1敗、防御率6・08。7月にはデラロサの離脱後、原監督から代役クローザーとして期待されたが、制球面の課題などを克服できず、7月26日に1軍登録を抹消された。2軍降格後も8月7日のイースタン・リーグDeNA戦で4失点するなど、異例の3軍降格を経験。終盤戦の1軍復帰を目指す中で、中継ぎ補強を求めたロッテへのトレードが決まった。

入団時から知る原監督は「私にとっても思い出深い素晴らしい選手でした。環境は変わってもステップ材料とするように。求められたことが、彼にとって素晴らしいこと。飛躍することを願います」とエールを送った。「教え子という立場で一番話した選手かもしれない。笑ったり、時には涙を流したり」と言い、トレード決定後は直接電話で激励した。「同じ野球界にいるという部分においてはオレは味方だと。応援している」と送り出した。

巨人にとっては今季3例目のトレード。楽天から獲得したウィーラーと高梨は主力として活躍する。香月は今季1軍経験はないものの、イースタン・リーグ5本塁打の左のパワーヒッタータイプで、チームの補強ポイントに合致した。

今季2例目のトレードを成立させた直後、大塚球団副代表は「昔ジャイアンツはトレードに出して活躍されると困ると、どちらかというと飼い殺ししていたんですよ。監督と私は生かす道があるなら、探した方がいいんじゃないかと」と説明。移籍の活性化により、選手の活躍の場を模索する方針に転換した中で、沢村にとっては優勝争いをするロッテで復活するチャンスとなる。「マリーンズに移籍しても、成長し、元気な姿を1人でも多くの人に届けられるよう頑張っていきます。9年半、本当にありがとうございました。また、球場でお会いしましょう」とコメントした。

◆巨人ドラフト1位入団選手のトレード 沢村は10年ドラフト1位で巨人入団。巨人のドラフト1位選手(自由獲得枠、希望枠を含む)がトレードで移籍するのは、16年11月に2対2のトレードで日本ハムに移籍した大田泰示以来15例目。このうち新人王経験者は木佐貫洋と2人目。

◆トレード期限 今季は開幕が延期となったことで、トレードなどの支配下登録期限が例年の7月31日から9月30日まで延びた。