巨人坂本勇人内野手(31)が、自身初となる3打席連続本塁打を放ち、原監督にメモリアル勝利を贈った。3回、右中間席への先制12号2ラン。6回には左中間へ13号ソロ、7回にも左翼席へ14号ソロを運んだ。広いナゴヤドームではプロ野球史上初の1試合3発。プロ初安打初打点をマークした出発点とも言える地で、記録にも記憶にも残る放物線をかけた。

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低めの直球をはじき返した打球が、広いナゴヤドームの右中間最深部に飛び込んだ。0-0の3回1死二塁。12号2ランを放った坂本は、大きな歩幅でダイヤモンドを1周し、ベンチで迎える原監督とエアグータッチした。今季3本目の右方向への1発に「あっちの方向に飛んでくれたのは良かった」と笑った。

1度は諦めた意識だった。31発を放った10年、シーズン終盤。スランプに襲われ、原監督から「ポップフライ病」と言われた。当時、阪神マートンが広角打法で214安打を記録した。自身は右方向へのアーチは1本で「僕も右に打てたら」と高みを目指したが、逆に打撃を崩した。チームの勝利のため、いったんは目の前の結果を優先した。

ただ、理想の打撃を追い求める姿勢だけは捨てなかった。試行錯誤を繰り返していると新たな道が見えた。「常に何かを求めてやっていれば、自分でも不可能と思ったことが可能になる」。昨季はキャリアハイの40発。右中間を含めた右方向へは12発たたき込んだ。

時に厳しく、時に優しく。原監督は野球界のおやじであり、おかんのような存在でもある。2年目の08年に全試合スタメンに抜てき。15年からは主将に指名された。恩返しするように6回にも13号ソロを放ち、7回には自身初の3打席連続となる14号ソロ。ナゴヤドーム史上初の1試合3発で、川上氏に並ぶ1066勝目を彩った。

坂本 監督のもとで長く一緒にプレーできていることは本当に財産だと思います。「すごいな」というところをたくさん見てきていますし、光栄です。

プロ1年目から「一戦必勝」を大事にする指揮官の背中を追い続けた。「チームに迷惑をかけた分、もっともっと取り返せるように、1日1日を大事に頑張ります」。4打席連発がかかる10日の中日戦。かかる期待をよそに、勝利への思いを一心に打席に立つ。【久保賢吾】