戦うタカはたくましい。10日に仙台で楽天と5時間半超の試合を戦ったソフトバンクが、福岡での移動ゲームで今季最短タイの2時間21分で西武に快勝。前日は指名打者でフル出場し、この日は今季初の左翼守備に就いたアルフレド・デスパイネ外野手(34)が決勝の3号ソロを含む3安打2打点と活躍。厳しいスケジュールをものともせず、4連勝を決めた。

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滞空時間の長い決勝弾を打ったデスパイネはダイヤモンドを駆けながら、わざとらしく疲れた顔をしてみせた。ハードスケジュールの中で今季初のスタメン左翼。「昨日の試合と今日の移動で、みんな疲れていたね」。それでも同点の4回、先頭で左翼テラス席最前列へ3号ソロ。8回にもダメ押しの適時二塁打で、チームを救った。

2度の中断をはさんだ10日の楽天戦。試合終了は午後11時半を過ぎていた。チームが球場を出る頃には、日付も11日に変わっていた。そしてこの日の朝、仙台から空路で福岡に帰ってきた。飛行機の座席が足りず、一部のスタッフは早朝に仙台を出発し、大阪経由で移動した。

今週は台風10号の影響で、野手陣と救援陣は6日のペイペイドームでの試合後に陸路で東京へ、翌7日に長時間をかけ、仙台入りした。前日は守備固めから試合終了まで出場していた周東も先制打と2盗塁でハッスルし「結構寝られましたよ。飛行機でもずっと寝ていました」とケロリと笑った。

試合前の練習、ウオーミングアップは各自の裁量に委ねられた。打撃練習も一部の主力選手は室内で打ち、野手の全体練習は通常の半分ほどの時間で終了した。工藤監督は「最後に(疲労が)どうやって積み重なっていくか。移動ゲームが多かったというのは言い訳にしかならない」ときっぱり。この日はデスパイネに左翼を守らせ、柳田を指名打者で起用。負担を軽減しながら、首位を守り抜く。

激闘の翌日、今季最短ゲームで快勝。工藤監督は「いろんな意味でナイスゲームでした」と目を細めた。4連勝でがっちり首位固め。V奪回へ首位を飛ぶタカは、大移動にも睡眠不足にも負けてはいない。【山本大地】

<ソフトバンクの長い1日>

10日

午後11時38分 楽天戦が終了。

 

11日

午前0時すぎ 選手らを乗せたバスが楽天生命パークを出発。

同0時半ごろ 仙台市内のチーム宿舎に到着。

同8時ごろ チーム宿舎をバスで出発。仙台空港へ。

同10時ごろ 仙台空港から福岡空港へ出発。

正午ごろ 福岡空港に到着。

午後1時ごろ ペイペイドーム入り。

同2時 ウオーミングアップは各自で。

同2時半 打撃練習スタート。

同3時11分 通常の半分ほどの時間で野手練習が終了。救援陣も普段より軽めの練習で引き揚げる。