日本ハム吉田輝星投手(19)が、楽天戦(楽天生命パーク)で今季初先発し、5回0/3を投げて、4安打3失点(自責2)だった。5四死球と制球に四苦八苦も、持ち味の強い直球とフォークボールで空振りを奪い、2年目の成長を見せた。1点ビハインドでマウンドを降りたが、味方が9回に追いつき、勝敗は付かなかった。試合は茂木の2ランでサヨナラ負けした。

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地元ともいえる東北のマウンドで、気合が空回りした。今季初先発の1軍マウンドは、2点の援護をもらってスタート。「気張りすぎた」と、気持ちの高ぶりが、力みにつながった。1回、2四死球と安打で、いきなり無死満塁の大ピンチ。遊ゴロによる最少失点で切り抜けたが、2-1の4回は、茂木に甘く入った142キロを捉えられて1死三塁とし、続くロメロの遊ゴロの間に追いつかれた。味方守備の乱れもあって2死二塁となったところで、小深田に低めのフォークを中前へ運ばれ「リードを守り切ることができず悔しい」と、顔をしかめた。

着実にステップを上がりながら、本番で出し切れないのが、もどかしい。プロ最長となるはずだった6回、この日4つ目の四球と4本目の安打を許し、無念の降板となった。98球はプロ最多。「気持ちが空回りしてしまう場面もありましたが、バッターを押し込んで詰まらせる強い真っすぐも投げることができた」と手応えもあった。

新型コロナ禍による開幕延期で、自粛期間中は毎日のように投げ込みを行い、下半身の使い方や力の抜き方を体にたたき込んだ。夏本番に入る前、腰が張って試合で投げられなかった期間もあったが「体幹トレーニングができたことで真っすぐが速くなった」と、ケガの功名とした。インステップの癖を修正し、生命線の外角低めの制球が大幅に改善。「リリースするまで力を抜いて、しっかり強い球が投げられる」“脱力投法”を習得したはずが、この日は発揮できなかった。

課題は把握済み。素直で向上心あふれるところは、背番号18の長所だ。「もっと真っすぐの精度を高めて、チームを勝たせるピッチングができるようにしたい」。19年6月12日広島戦(札幌ドーム)以来のプロ2勝目は、そう遠い話ではないはずだ。【中島宙恵】

▽日本ハム栗山監督(吉田輝に)「いいところもすごく出たし、まだまだ課題もはっきりしている。ただ、本当に前に進んでいる感じはする」