ロッテ打線が“天敵”のオリックス・アルバースの攻略に成功した。

初回、1番加藤が中前へ強くはじき返した。2回には内角低めへ投げきれなかった甘い球を、6番角中が右中間へ強く飛ばした。いずれも得点にはつながらなかったが、チームを勇気づける安打になり、3回以降の5得点につなげた。

アルバースには今季過去3戦で打率1割9分4厘に抑えられた。ゴロアウト17個のうち12個が左打者。フライアウト19個のうち16個が右打者。打者の左右でプレートの踏み位置を変える技巧派に、完全に手玉に取られていた。加藤と角中は低く構え、アウトでも強いライナーを打てていた打者。相性の良さで勢いづけた。

シーズンも残り50試合を切り、黒星1つの痛みが増す。天敵攻略で3連勝を挙げ、井口監督は「最近は高低で(球が)ばらけていた」と振り返った。「速いカウントでは甘い球を。それに、100球前後でいつも交代するので、追い込まれたらファウルで粘ろうと」と明かした。

どんどんストライクを入れてくる左腕ながら、各打席3球目までの打率は、試合前までは1割8分5厘にとどまっていた。それが4球目以降になると2割3分1厘に微増し、出塁率は4割超だった。

相手のペースに乗らないことに大きな意味があった。4回までの投球数は過去3戦は54球、50球、54球。この日は86球。粘って消耗させ、5回には中村奨、清田がソロ本塁打でだめ押しした。

打球は全体的に力強く、低めを強く引っ張って右翼席へ運んだ藤岡も「ヘッドが利いてうまく打つことができた」と話した。井口監督も「戦略としては非常に良かったと思います」と満足げ。見事な天敵攻略で、首位ソフトバンクに再び0・5ゲーム差に迫った。【金子真仁】