あっという間の転落だ。矢野阪神がBクラス転落の危機に立たされた。リーグ最多11度目の完封負けで9月10日以来の3位に後退。9回2死から大山、ボーアの連打で一、三塁と走者を進めたが、最後は6番梅野が中日大野雄のフォークを引っかけて投ゴロ。2時間35分の完封劇を演じられた矢野監督も、さすがにため息交じりだ。

「個人個人がちょっと状態悪い。それが上がってこないとね、いいピッチャーって、なかなかつながらない。悠輔(大山)とチカ(近本)ぐらい。自分のポイントで自分のバッティングっていうか、スイングできているのは。それ以外全員が、1人1人上げてこないと」

天敵を攻略できない。これで大野には9月30日に続き、2試合連続の完封負け。19イニング連続無得点だ。阪神が同一投手に2試合連続完封勝利を許したのは、96年広島山内以来、24年ぶりの屈辱。直球にツーシーム、フォークとコースに決められ、投球のタイミングも微妙な変化を加えられ、相手の投球術にはまった。同じ轍(てつ)を踏んでしまった。

あれだけチャンスに強かった助っ人サンズの表情も秋風に吹かれて曇る。6回2死三塁で二ゴロに倒れるなど2三振を含む4打数無安打に倒れた。10月に入ってから11試合でわずか4安打と、月間打率は1割1分4厘。まったく気配がない。嘆き節の指揮官も、必死に前を向くしかない。

「順位は上がったり下がったりするしね。中日の状態がいいんで。それはもう食らいついていくしかないし、それが結果なんで」

8年ぶりAクラスを狙う中日に追い抜かれ3位転落。振り返れば4位DeNAが1ゲーム差に迫る。残り22試合で迎えたBクラス危機。ここでズルズルいくわけにはいかない。負の連鎖を断ち切りたい。【桝井聡】

▼阪神が同一投手に2試合連続完封勝利を許したのは、山内泰幸(広島)に96年8月25日、9月5日の2試合連続で敗れて以来、24年ぶり。阪神では和田豊、新庄剛志、桧山進次郎らが先発出場したが、打線が沈黙した。