パパ勝ったよ。巨人高橋優貴投手(23)が、1年ぶりの先発で5回2安打1失点に抑え、昨季8月17日阪神戦以来424日ぶりの勝利を挙げた。ルーキーイヤーの昨季5勝を挙げ、背番号を26に変更して臨んだ今季は、3月のオープン戦で左肘痛を発症し離脱。ようやくつかんだ先発マウンドで2月に生まれた第1子に初勝利をプレゼントした。優勝マジックを9とし、日本シリーズの先発候補に浮上した。

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二塁で1度止まりかけた高橋が、驚いたような表情で三塁へ走りだした。1-1の2回2死一塁、128キロを引きつけ前進守備の右中間を破った。悠々三塁まで到達するとスタンドから拍手が起こった。「(ゴロ以外で)外野に飛んだヒットは高3以来。ベースランニングの仕方も忘れました」と驚いた。昨季は3安打のみで打率0割9分4厘だったが、打撃が苦手という意識を打破した。

固定概念にとらわれず復活のマウンドに上がった。昨年元サッカー日本代表MFの遠藤保仁(磐田)の著書「一瞬で決断できるシンプル思考」に出会った。「『自分をしっかり持っていれば、これをしなきゃいけないとかを持つ必要はない』みたいなことが書いてあって、確かになって」と感銘を受けた。

40歳で新天地を求めた遠藤のように、本職の投球でも最善の道を模索する。ファームでは左肘への負担が少ないフォームの試行錯誤を繰り返し、杉内2軍投手コーチとともに、キャッチャーミットを突き抜けるイメージで直球を磨いた。得意球のスクリューの制球に苦しんだが「(大城)卓三さんもいろんなボールを使ってくれて、何とか抑えることができた」。直球、スライダーを軸にソロによる1失点に抑えた。

1軍勝利は424日ぶりと“ヤット”勝った。2月に生まれた第1子にパパ1勝をプレゼント。中継ぎとして1軍復帰した7日、8カ月の娘はテレビの前で応援してくれた。「夜泣きはする方ではないんですけど、妻が僕が野球に集中できるように環境をつくってくれたので、感謝してます。いい報告ができるなと思います」。先発復帰即勝利の勢いそのままに2年連続のリーグ優勝へ-。その先の日本シリーズ先発にも名乗りを上げた。【久永壮真】