自力CS消滅危機の窮地を、西武栗山巧外野手が救った。先制された直後の6回2死一、二塁。内角直球攻めを見極めた。

初球を振りにいきファウル。2球目を見逃しボール、3球目を右中間へ運ぶ逆転2点適時打。お立ち台で「非常にいい場面で回ってきて『何とかしたいな』というところだった」と誰よりも頼もしかった。

プロ19年目。異例のシーズンとなっても、影響を感じさせない打撃を続ける。生え抜き初の2000安打に残り87本としても目もくれず、丁寧に積み重ねる。その道中、人知れず“大記録”を塗り替えていた。

8月11日楽天戦、4回に5号2ランを放ち通算1866安打とし、母校・育英高出身の元近鉄・大村直之氏を更新した。開幕前「大村さんとは、お会いしたことあるんですけど、あれだけの活躍をされた方ですから。やっぱりオーラがすごい。そんな大先輩の記録ですから、ぜひ達成したい」と話していた記録だった。

決勝打の直前、主将の源田が頭から突っ込んで盗塁成功。気迫あふれる姿に「何とか源田をかえしたいと、高まりました」と自らのバットで生還させた。「今日の1試合、明日の1試合は意識しない。こういう中でも、応援に来てくれるファンの皆さんにいいプレーを見てもらいたいと、その気持ちだけ」。栗山の心意気が、チームを前に向かせる。【栗田成芳】

▼西武辻監督(札幌から移動ゲームでベテラン栗山が活躍)「ベテランが一番疲れているんだよ。6時に起きて、7時にホテル出て、そこから移動してみんなしんどかったと思う。栗山の素晴らしい一打でした」