阪神ドラフト1位の近大・佐藤輝明内野手(21)が、“1試合2度のV弾”を放つ離れ業を決めた。ドラフト後初実戦の練習試合・大産大戦(近大グラウンド)に3番三塁でフル出場。同点の7回に虎1号となる130メートルの決勝ソロを右中間最深部に運ぶと、タイブレークを想定した10回は中堅越えにこれまた特大125メートルのサヨナラ3ランをかっ飛ばした。盗塁も決め、3度の三塁守備も軽快に処理。3拍子そろった新大砲加入で来季の虎は明るい。
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打ってほしい場面で打つ。虎の1位佐藤には、そんな勝負強さが備わっている。2-2同点で迎えた大産大戦の7回先頭。2球目の133キロ低め直球をとらえた。グワシャ! たたきつぶすような衝撃音を残し、白球は右中間最深部の茂みの中へ。ベンチからは「飛びすぎ~」「ボールが見つからな~い」と驚きと悲鳴が起きた。打った瞬間、本塁打と確信した佐藤は「とにかく強くコンタクトして、まあ、入ってよかったです」と推定130メートルの決勝弾を振り返った。試合はこのまま3-2で終了。1点目の左前適時打と合わせ、タテジマ入団に花を添える2打点で快勝を導いた。
だが佐藤劇場には続きがあった。タイブレークを想定した10回、1死二、三塁。3球目、低めの変化球を高々と打ち上げると、120メートルのフェンスの向こうへ消えるサヨナラ3ラン。1試合2度のV弾で悠々とベースを1周した。「まあ、入らなくても(外野フライでも犠飛で)勝ちなので、ゆっくりと走っていました」。勝利最優先の心理で最高の結果を出した。
ネット裏で見守った阪神畑山俊二統括スカウト(56)は大喜びだ。「これ以上ない、いいものを見た。中堅中心に大きなのが打てるのは彼の最大の魅力。(滞空時間の長い本塁打は)長距離打者の打球、放物線だ」。
守っても三遊間の難しいゴロをつかむと、1回転して一塁送球するなど、3度の守備機会を軽快にこなした。さらに3回2死一、三塁の場面では悠々二盗に成功。「プロで40盗塁」と目標に掲げる男が、50メートル6秒0の快足も披露した。畑山統括スカウトは「打っても投げても走っても守っても、一流になれるだけのポテンシャルを持っている。大きく育ってほしい」と長打力プラス三拍子そろった野球センスにホレ直した。
ただ佐藤本人は阪神からの指名後も「特にないですね。いつも通り」とマイペースを崩さない。プロのことを考えるのは、6日から始まる学生最後の大会、関西地区大学選手権(南港中央)でもうひと暴れしてから。まずは打倒大商大に全力を注ぐ。【石橋隆雄】
○…横浜で佐藤輝の2発を伝え聞いた阪神矢野監督も目尻を下げた。「ホームランも特長なんで。どんどん打ってくれるとね、本人の自信にもなるし、ファンの人も期待は上がる。打てると思うので、どんどん打ってくれたら。楽しみにしています」。4球団競合の末、右手で引き当てた金の卵が来季活躍する姿を思い描いていた。
○…兵庫・西宮市出身の佐藤は弟2人が大の阪神ファンであこと明かした。次男・関学大の太紀内野手(2年=関西学院)と三男で小学4年生の悠君(10)。「弟2人ともですね。父親(博信さん=53)もたぶん阪神ファンです」。自身もよく甲子園に観戦に行っていたといい「メガホンは持っていたと思います。(応援歌は)金本さんとか矢野監督とか」と、当時のメロディーがしっかり頭に残っているようだ。
▽近大・田中監督(佐藤について)「ああいう場面で打てるというのが成長じゃないですかね。(指名後も様子は)全然変わらないですね。マイペースな人間で、彼の性格でしょうね」



