引退試合を迎えた阪神藤川球児投手(40)が、現役最後のマウンドに上がった。12球の全球火の玉ストレート勝負で坂本、中島から2三振を奪った。

プロ22年目、日米通算811試合目の登板。背番号22が最も似合う9回にコールされた。大型ビジョンにブルペンが映し出され、救援陣に見送られた。今季最多21392人が詰めかけた甲子園。登場曲「every little thing every precious thing」(リンドバーグ)が流れる中、笑顔でリリーフカーに乗ってグラウンドへ。マウンドでは矢野監督が出迎え、抱擁を交わした。内野陣とはグータッチを交わし、この回から途中出場した捕手梅野へ投球練習を行った。

巨人原監督も粋な采配で応えた。先頭打者には先日、2000本安打を放った坂本を代打に送った。藤川は直球を3球投げ込み、最後は148キロ真ん中直球で空振り三振。坂本も豪快なフルスイングで応えた。続く代打中島への初球には、引退表明後では最速となる149キロを計測。4球目には珍しくワインドアップも披露した。6球目の146キロ直球で2者連続空振り三振を奪った。続く重信は2球目の146キロ直球で二飛。最後の登板は全12球直球勝負。藤川らしいラストとなった。マウンドを降りる際には、割れんばかりの「藤川」コール。背番号22はスタンド全方向に、そして相手巨人ベンチにも一礼。両手を挙げ、笑顔で感謝を伝えた。

日米通算15955球を投げ終え、計1252三振を奪った右腕は、最後のマウンドを後にした。

<藤川ラスト登板全球>

・代打坂本

148キロ直球(見逃し)

148キロ直球(空振り)

148キロ直球(見逃し)

148キロ直球(空振り三振)

・代打中島

149キロ直球(空振り)

148キロ直球(空振り)

148キロ直球(ファウル)

147キロ直球(ワインドアップで見逃し)

145キロ直球(見逃し)

146キロ直球(空振り三振)

・3番重信

147キロ直球(ワインドアップで見逃し)

146キロ直球(二飛)

 

試合前練習開始時には、サプライズでおそろいの記念Tシャツを着たチームメートに出迎えられ、記念撮影。キャッチボールなどで最終調整を終えた。

試合前のセレモニーでは地元の「高知くろしお感動大賞」の表彰を受け、浜田省司高知県知事(57)から賞状が贈られた。対戦相手の巨人からは先日、2000本安打を達成した坂本から花束を受け取った。

始球式は、父の背番号22を付けた藤川の長男が務めた。捕手は藤川自身が務めて親子バッテリーが誕生。外角直球がノーバウンドでミットにミットに収まった。藤川は受けたボールを笑顔で長男に投げ返し、球場全体の応援に2人で応えた。