球児さん、バトンタッチです!! 阪神は16日、今秋ドラフト8位で指名した四国IL高知・石井大智投手(23)と高知市内のホテルで仮契約を結んだ。契約金1500万円、年俸550万円。最速153キロ右腕は今季限りで現役引退した元阪神の藤川球児氏(40)の投球動画を研究。15年に高知でプレーした先輩の「火の玉ストレート」を継承する。(金額は推定)

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今秋ドラフト支配下最下位の74番目で指名された男がスーパースターの心意気を全身で受け止めた。

「同じチームの先輩、OBという関係で、僕が小さい頃から見ていた選手。オールスターでの真っ向勝負、直球勝負が本当に魅力的で、僕のなかで雲の上の存在。藤川投手に並べられるように頑張っていきたい」

今季で引退した元阪神の藤川氏も15年6月から4カ月間、高知でプレー。ドラフト当日の10月26日には藤川氏からツイッターで「心置きなく プロ野球の世界へ 僕ももう少し頑張って バトンタッチだね しかも高知ファイティングドッグスから!!」と粋なエールを送られていた。石井もうなずき、力強く言った。

「高知から阪神に進む流れも一緒ですし、本当に僕もNPBに行きたい思いでずっとやってきた。1つの流れとして、藤川球児選手にかぶる部分があって僕としては信じられない。思っていただいている期待に応えられたらいい」

普段から藤川の投球動画を研究していた。「藤川投手の空振りを取れるストレートを見て、リリースするときも、地面と垂直の角度で球が出ているから、あれだけ伸びのある球になると思う。球の角度というか。僕もどちらかと言えば垂直に近い回転の軸で投げられている」と分析し、自ら似ている点を明かした。

石井は、高性能機器「ラプソード」で球の回転軸などを測定。「0度から右投手の場合はプラスの角度の方が多いですが、僕はマイナスの角度が多い」と続けた。投手から見てリリースが手元よりも右の角度ならプラス、左の角度ならマイナスの数値が出る項目などがある。手首を立てるようにリリースし、縦回転の力を球に伝える。火の玉ストレートを継承する気概だ。

「スピードより、空振りを取れるところに自信を持っている」と胸を張る。先発、中継ぎなどポジションに執着はない。高知の球団関係者も「伸びのある真っすぐ」と証言する。打者を圧倒する、ホップした球筋。ルーキーも伝説の軌道を追い求める。【酒井俊作】

◆石井大智(いしい・だいち)1997年(平9)7月29日生まれ、秋田県出身。秋田東中ではロッテ成田翔とチームメート。秋田高専を経て18年から独立リーグ四国IL・高知でプレー。今年のドラフト8位で阪神に指名された。最速153キロ。持ち球はスライダー、カットボール、シンカー、カーブ。175センチ、81キロ。右投げ右打ち。

▽阪神山本スカウト(石井の強み) 速球です。球の速さと球の強さ。四国ILでNO・1の投手だった。それと特殊な変化球。シンカーですよね。それで三振を取れるのが彼の魅力。