一瞬の判断と判定が、東邦ガスの明暗を分けた。

0-1の4回無死一塁、4番の若林俊充内野手(27=日体大)がENEOS・柏原の初球を捉えた。右中間への大飛球。打球はフェンス上部に当たったか、グラウンドに跳ね返ってきた。一塁走者は一気に本塁を狙ったが、相手の中継による好返球に阻まれ憤死。後続も倒れ、同点、逆転のチャンスを逃した。

打球は高く跳ねて戻ってきた。跳ね具合から考えると、フェンス上部の手すりか、スタンドの座席に当たって戻ってきた可能性もある。もしそうであれば、逆転2ランだった。だが、プロとは異なり、リプレー検証は導入されていない。山田勝司監督(42)は「入っていると思ったのですが。でも、審判さんの判定なので」と悔しさを押し殺すように振り返った。直後に思わず両手で四角を描き、リプレー検証を求めるようなしぐさを見せた。「白黒つけて欲しいなと。すいません」と苦笑いを浮かべた。

もっとも、判定とは別に、反省が残った。打った若林は一塁で止まってしまった。「芯で捉えました。いったと思ってしまい、走り出しが遅かった。怠慢プレーです」。フェンスオーバーと決めつけず、二塁まで進んでいれば、まだ1死二塁。好機は続いており、展開は違ったかもしれない。

さらに、一塁走者の本塁憤死。山田監督は「結果的にアウト。暴走に近い。ランナーコーチも含め、反省点です」と指摘した。

4回の逸機が響き、直後に2点目を失った。その後も再三、チャンスはつくるが、あと1本が出ない。結局、10安打で無得点。対するENEOSは7安打で6点を奪った。若林は「チャンスで1本が出ないうちと、少ないチャンスでタイムリーが出る相手との差がある。チャンスでの1本にこだわって練習していくのはもちろん、流れを変えられる長打、ホームランを追求しないといけない」と話した。4年連続初戦負けの汚名を返上すべく、前を向いた。