ホンダ(狭山市)が前回優勝した09年以来、11年ぶりのベスト8進出を果たした。タイブレークの延長10回表に1点を奪われたが、その裏にベテラン井上彰吾外野手(29=日大)が左翼線へ2点適時二塁打を放ち、逆転サヨナラで勝利した。ENEOS(横浜市)は巨人からドラフト4位で指名された三菱パワーからの補強選手、伊藤祐輔投手(23=中大)が7回から登板し最速156キロを記録したが、悔しい敗戦を喫した。NTT西日本(大阪市)は2年連続で8強入りした。

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ベテランの執念が、チームを勝利に導いた。「絶対に決めてやる」。井上は打席に入ると、心の中でつぶやいた。大会規定により、延長10回から選択打順の1死満塁で始まるタイブレーク。2ストライクと追い込まれてから3球目の真っすぐを振り抜いた。「打った瞬間、2点入ると思った」。09年の優勝以降、初戦敗退が4回。選手たちの悔し涙を乗せた打球が左翼線に落ちた。「東京ドームは悔しい思いをする場所だった。今年は絶対にみんなでいい思いをする」。ベンチから選手たちが笑顔で駆けだす姿を目に焼き付けた。

1、2打席目では三振。「若い選手が頑張っているのに、自分は何をやっているんだ。ここで決めなければ終わる」。自身を奮い立たせ3打席目から3安打。8回からは井上と同期の主将・福島由登投手(30=青学大)が登板。力のこもった投球でチームを鼓舞した。ベテランの奮闘でベスト8の壁を破った。井上は「次も勝ちたい」と力を込める。強豪ホンダが、東京ドームに帰ってきた。【保坂淑子】