“ビースト守備”で来季も魅せる! 第49回「三井ゴールデングラブ賞」を初受賞した日本ハム大田泰示外野手(30)が18日、東京都内で行われた授賞式に出席し、野性味あふれる守備へのこだわりを口にした。日本ハムからは、一塁手部門で中田翔内野手(31)、外野手部門で西川遥輝外野手(28)も受賞。チームとしては28年連続で受賞者を輩出しており、パ史上最長記録を更新した。

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苦節12年で「遠い存在」だった勲章を手にした。黄金のトロフィーを受け取った大田の表情は、終始、神妙だった。「こだわっているのは、野性的にボールを捕りに行くこと。フライボールは全部、取りたい。フェンスがあろうが、そこに何があろうが。アグレッシブにやるのが、一番大事」。白球が上がれば、ビーストに変身する。それが、右翼の絶対的レギュラーに成長した背番号5のプレースタイルだ。

強肩と守備範囲の広さで、リーグ屈指の外野手として鳴らす西川と、鉄壁の右中間を形成した。補殺はリーグ2位の7つ。「ハルキ(西川)のおかげで取れたと言っても、過言ではない。ライトなんて守ったことがなかったので、引っ張ってもらった。横の連係が取れていたので、間の打球も怖がることなく捕りに行けた」と、2歳下の相棒との出会いに感謝した。

高校球界屈指の強打者として、08年ドラフト1位で巨人に入団。当初は三塁手だった。「守備に関しては本当に下手くそだった。苦い記憶、いっぱいあるな」。巨人時代は、たびたびフライを落球。毎日怒られ、練習し、それでも試合でミスをした。「無駄な努力はない。今やっている努力が2年後、3年後、5年後につながってくる。その、いつかのために今がある。皆、くじけそうになった時には、ちょっと思い返して」。苦労人の言葉だからこそ、説得力がある。

女性ファンの間では“ハルタイ”の呼び名で、西川とのコンビが人気を集める。その西川に今、米球界移籍の可能性が浮上。「今年も打撃練習で中堅に入ったり、いろいろなポジションでやってみた」と、巨人時代に守った中堅への挑戦にも前向きだ。「後は監督の判断。キャンプでは、そういう練習もしてみようかな」。血のにじむ努力と、どんな打球にも飛び込む勇気、そして折れない心。ビーストの守りで、来季も光り輝く。