21年シーズンのブレークが期待されるイチオシ選手を各球団の担当記者が紹介します。西武からはリード・ギャレット投手(27)です。

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今季、日本球界最速記録を塗り替えるかもしれない。ギャレットが、21年シーズンも契約を更新した。1年目の20年は、162キロを記録するなど49試合に登板。2年目も中継ぎの一角として、160キロ右腕平良、FA残留した増田へつなぐ役割を求められる。ギャレットは「登板する試合ではベストを尽くし、自分にできる限りのことをします」と誓っている。

米国では、バージニア州立軍事学校に通った異色の経歴を持つ。同校OBには、映画にも描かれた米国陸軍の英雄、パットン将軍がいる名門校。野球を続けるために選んだ道だったが、授業では機関銃を使うこともあったという。「そのときの訓練はかなり厳しかった。そういうものが今、野球の中で、自分が苦境に立ってもさらにできるんだっていう気持ちになり、頑張れる。そういう気持ち的な部分は生かされている」。中でも深く記憶に残るのは、20マイル(約32キロ)に及ぶ行進。「あれは本当にきつかった。あのつらさを思い出せば野球を頑張れる」と糧にしている。

軍事学校卒業後、14年にプロ入り。訓練で鍛えた屈強な体から繰り出す速球は、18年マイナーリーグで101マイル(163キロ)をマークした。日本最速記録の165キロまでは、あと2キロ。「165キロはかなり速い。でもそこに並び、抜くことができれば、すごくうれしい。マウンドに上がるときは常に自分の全力を出して投げているので、結果的に速い球につながっていけばいい。100%全力でいくことには変わりない」。

オフは、シーズン中は離ればなれだった長男・ボウ君との時間を過ごし、2年目に向け英気を養っている“ギャレット将軍”。プロ野球界の歴史に、名を刻むかもしれない。【西武担当=栗田成芳】

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