ライアンに続いて「ロケット」が加わる! ヤクルトのドラフト1位、木沢尚文投手(22=慶大)が17日、埼玉・戸田球場で初めてブルペン入り。立ち投げながら力強い球筋を見せ、目指す投手像にサイ・ヤング賞7度のロジャー・クレメンス(58=元ヤンキース)の名を挙げた。チームには既にノーラン・ライアン投法の小川がおり、ともに投手陣の柱としてメジャー級の活躍を期する。

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新人合同自主トレで初めて傾斜付きのマウンドに立った木沢が、大きな理想とともに左足を踏み込んだ。ズバン、ズバンと16球。「初日だから力を入れすぎないように」とセーブしながら、8割の力を込めた。ヤクルト投手陣にはいない、剛球で押しきれる先発型投手。本格派パワーピッチャーとして長く歩んでいく道の第1歩を切った。

いつか自分も-。道の先の像はくっきり見える。「ロジャー・クレメンスみたいな投手になりたいと思います。クレメンスとかシリングとか、向こう(海外)の本格派に憧れる。技術もフォームも立ち振る舞いも、堂々としていてロマンを感じる。そういうロマンのある投手になれたら」。ロケットの愛称で親しまれたクレメンスは大リーグ通算354勝、サイ・ヤング賞最多7度の超大物。メジャー登板は木沢が9歳だった07年が最後となったが、動画サイトで理想を探す中、時を超えて巡り合った。

けがに泣いてきた。高3で右肘靱帯(じんたい)を損傷し、投げるのが怖くなった。だからこそ憧れる。「40歳過ぎまでずっとパワーピッチャーでい続けながら、長く現役を続けられたのは絶対に理由がある。自分は正直けがに弱い。けがが多かった分、故障については勉強してきました」。自分を知り、強い球を投げ続けられる体を求めていく。

視察した高津監督は「真っすぐで空振りが取れる、真っすぐで打ち取るっていうのはプロの世界で難しいことなんだけど、彼はその素質があると思う」と期待を高めた。かつてクレメンスはライアンから、投球時の下半身の使い方を学んだという。ヤクルトにも昨季、ノーヒット・ノーランと2ケタ勝利を収めたライアンこと小川がいる。先輩から学べる環境がある。「負担のないフォームで力強いボールを投げられる、それが目指すべきところ」。155キロ右腕は鮮明にビジョンを描いている。【鎌田良美】

◆ロジャー・クレメンス 1962年8月4日、オハイオ州生まれ。83年にテキサス大からドラフト1巡目でレッドソックスに指名され入団。メジャー24年間で最多勝4度、最優秀防御率7度、奪三振王5度、サイ・ヤング賞7度、MVPにも1度輝いたメジャー史上屈指の投手。07年の禁止薬物使用の調査書「ミッチェルリポート」に名が挙げられ、野球殿堂入り候補になって今年が9年目だが選出は厳しい状況になっている。レ軍の他ブルージェイズ、ヤンキース、アストロズに所属し通算354勝184敗、防御率3・12、4672奪三振。193センチ、92キロ、右投げ右打ち。