巨人原辰徳監督(62)が「打倒ソフトバンク」「常勝軍団誕生へのサバイバル」をキャンプのテーマに掲げた。22日、都内でスタッフミーティングを実施し、キャンプメンバーを発表した。原監督はこの会議を「1つになって誓いを立てる会」と位置づけ、強い言葉で日本一への思いを共有。2軍スタートながらドラフト3位中山礼都内野手(18=中京大中京)と同5位秋広優人内野手(18=二松学舎大付)に期待するなど、若手には厳しい練習を課して競争を促す。

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画面越しでも伝わってきた。リモート会見に登場した原監督は、全スタッフとのミーティングを「いかに1年間同じ気持ちでチームに、選手に戦いを挑んでいくか。選ばれた人たちが集まり、1つになって誓いを立てる会」と表現した。共有したのは「日本一を奪還する」志。2年連続でソフトバンクに4連敗した日本シリーズの屈辱を晴らすべく、覚悟を定めた。

春季キャンプでは、主力の調整と若手のサバイバルの二兎(にと)を追う。ベテランと外国人に加え、菅野や坂本勇らも自主調整のS班スタート。「アスリートにとって最も重要なレスト(休養)の時間が少なかった」と昨季の疲労に配慮したと説明した。

若手中心の宮崎メンバーは、そうはいかない。「鉄は熱くという中でガンガン構築していく、たたくグループもある」と予告した。2月8日と13日には、1軍22人と2軍20人の対抗戦を予定。S班19人が沖縄2次キャンプから1軍に合流するため、沖縄行きは狭き門となる。「何人が乗り込むかは注目していただいていいと思います」と、サバイバーの台頭を期待した。

新しい芽にも目を配る。新人合同自主トレを複数回、視察。ドラフト3位中山を「勇人(坂本)に匹敵するぐらい、いいものを持っているのではないか。近々未来、かなり早い状態から1軍レベルまでになる可能性がある」と評すれば、身長2メートルの同5位秋広は「体は大きいけどバランスの取れたいい選手」と大型三塁手として育成する方針を決めた。「2人に『お前さんたちが1番、3番、あるいは2番、3番。そういう打順で近々未来背負って立てる人だな』と独り言のようにつぶやきました」。未来の三遊間コンビ結成へ、大きく育んでいく。

無観客のキャンプインでも、グラウンドの熱が下がることはない。「気長に、今年はこの程度でいいかと思って2月1日を迎える人は誰1人いない」。9年ぶり日本一へ、鍛錬の春を迎える。【浜本卓也】

◆中山礼都(なかやま・らいと)2002年(平14)4月12日、愛知県生まれ。高校通算17本塁打に加え守備範囲も広く、50メートル5秒9と走攻守3拍子そろう。名前の由来はイチロー氏や高橋由伸氏で「超一流の選手はライトを守っていることが多いから」。趣味は将棋で好きな駒は飛車。初めて東京ドームで観戦した小学2年から巨人ファンで坂本勇に憧れる。182センチ、80キロ。右投げ左打ち。

◆秋広優人(あきひろ・ゆうと)2002年(平14)9月17日、千葉県生まれ。二松学舎大付(東京)では投打二刀流で投手で最速144キロ、打者で23本塁打。趣味はカラオケとボウリング。十八番はサザンオールスターズの「TSUNAMI」で、ボウリングの最高スコアは199。200センチ、95キロ。右投げ左打ち。足のサイズは32センチで高校からスパイクは特注。ジャイアンツ寮の自動販売機より大きい。

<原監督の主なスタッフミーティング語録>

◆07年(1位)「ナメられてはいけない? 戦いですから当然。伝統や歴史を守りつつ、攻めるべきところはガムシャラに攻めていく」(滝鼻オーナーの『他球団にナメられるような野球をしてはいかん!』というゲキに)

◆09年(1位=日本一)「大型補強がない。いかに選手がレベルアップするか。2月1日に、ファイティングポーズを取った状態でスタートしてほしい」(競争色を押し出すキャンプ方針を示す)

◆12年(1位=日本一)「我々は足元を見て、10というのも、まず1がないと。1というものをしっかり見据えた状態で戦う」(V奪還を厳命する白石オーナーの言葉を受け止め)

◆13年(1位)「過去2度の日本一の後は、横一線、新たなスタートだと、選手に伝えてきた。でも2013年はこの考えを一変させようと思う。去年、我々はギリギリで勝った感覚だが、周囲は巨人には完敗したと思っていると思う。研究され、マークされている。これは、横一線とは言えない。全チームが『打倒巨人』で来ることを意識して戦っていこう」(V9以来の連覇を目指し意識改革に着手)

◆14年(1位)「12、13年は素晴らしい年だったが、最後に勢いが止まった。また勢いをつけるには相当なエネルギーが必要で至難の業でもある。心して戦っていかないと」(前年はリーグ連覇を果たしたが、日本一連覇をあと1勝で逃し)

◆15年(2位)「プラスとマイナスでゼロ…という計算はしないでくれ。欠点を考えず『この教えに関しては、オレが日本一だ』という指導をしてくれ」(日本一を奪い返すため、コーチ陣へ向けて)

◆19年(1位)「ジャイアンツのスタッフは今日来た人たちが中枢。我々は大きな役割を持ち、大きな仕事をする。それは勝つこと。そしてファンに愛されること。それに対して、1人1人が全力で立ち向かっていきましょう」(5年ぶりリーグ制覇と7年ぶり日本一に向けて団結を呼びかけた)