オリックス吉田正尚外野手(27)が22日、大阪市内で契約交渉を行い、8000万円増となる年俸2億8000万円プラス出来高払いで更改した。プロ6年目野手の同年俸は、オリックス時代のイチローと並ぶ最高額。チームの生え抜きでは、00年イチロー以来の首位打者を獲得したことで、記録的な上がり幅を手にした。また、新選手会長としてVけん引を誓う一方で、将来的にポスティングによるメジャー挑戦を検討する可能性も示唆した。

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自身初タイトルと2年前の「バラ色の更改」が、記録的な昇給を吉田正にもたらした。19年オフ、2年連続フル出場と西武森との首位打者争いなどを評価され、8500万円から2億円にジャンプアップ。その交渉が、6年目野手の球界最高年俸につながった。

吉田正 納得してサイン? もちろん。チームが2年連続最下位という現実を受け入れて、今年はなんとか優勝目指して。まだAクラスも経験したことないんで、責任を持って上を目指していくしかない。個人としてもタイトル争いをして、1つでも多く1番になりたい。

4日から沖縄で日本ハム西川と自主トレの予定を組んでいたこともあり、越年交渉にはなったが、満足できる結果にモチベーションはいっそう上がった。新たに就任した選手会長としての初仕事にも、さっそく着手。本拠地・京セラドーム大阪内の仮眠室設置と「戦術の部分で新しい部門を作ってほしい」という要望を、この日の交渉で球団に伝えた。

吉田正 秋には、よくテレビで見る(選手会長が)音頭を取ってね。パパーッとみんなで盛り上がる。コロナが落ち着けば盛り上がれますし、それを祈ってあとはやるだけ。

普段は冷静な吉田正が、歓喜のビールかけの音頭取りを想像。戦術面、環境面で成績向上につながる計画を披露し、球団からは前向きな回答を引き出した。一方、自身については、将来的にポスティングによるメジャー挑戦を検討する可能性も示唆した。

吉田正 将来のビジョンについても、少し話しました。いろいろ含めて、これからの自分の野球人生についてもイメージしながら。

フィリーズのハーパーを理想の選手とし、フルスイングが代名詞。世界も視野に入れた将来像も模索していく。【堀まどか】

▽オリックス久保球団管理部長「タイトルを取った打率プラス、それにひも付いてくる出塁率の高さを最大限に評価させてもらいました。将来的な話というのは、チームへの思いじゃなかったでしょうか。チームを強くしたい、勝ちたいという思いは強い選手なので」

 

▼吉田正は18年から3年連続全試合出場し、この間の打率が・321→・322→・350。昨年は首位打者を獲得し、3年とも3割2分を超える高い打率をマーク。3年連続打率3割2分以上は05~08年青木(ヤクルト)以来で、3年連続全試合出場で打率3割2分以上は94~98年イチロー(オリックス)以来になる。昨年はパ・リーグの規定打席到達者では最少の29三振。三振の少ない打者は早打ちの傾向があるが、吉田正は四球を72個選んだ。70四球以上で30三振以下は74年張本(日本ハム)以来で、「70四球以上で30三振以下の首位打者」は60、63年長嶋(巨人)74年張本に次いで2リーグ制後3人目だった。昨年の本塁打は14本も、18年は26本、19年は29本。休まずに長打が打てて高打率。加えて三振が少なく、四球も選べる理想的な打者となった。

 

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