矢野監督も“川相塾”の塾生になる! 阪神矢野燿大監督(52)が、今春キャンプで臨時コーチを務める川相昌弘氏(56)に、監督自身や首脳陣も積極的に学ぶ考えを明かした。3年連続12球団ワースト失策の弱点克服へ、ライバル巨人の遊撃で6度のゴールデングラブ賞を獲得した名手の考えを首脳陣も吸収。一方で、昨季セ・リーグ1位だった長所の犠打成功率をさらにアップさせるべく、NPB最多533犠打を誇る名人にどん欲に極意を学ぶ。

    ◇    ◇    ◇

守備の名手から貪欲に学ぶ。矢野監督は、春季キャンプで臨時コーチを務める川相氏について「選手もエラーを減らせる可能性があるし、俺らも守備に対しての勉強ができる」と選手だけでなく、首脳陣にも大きなプラスになると話した。

1軍の内野守備は内野で一時代を築いた久慈コーチと藤本コーチが指導に当たっている。外野守備担当の筒井コーチも含め、3年連続ワーストの失策数を何とか減らそうと熱心に指導している。矢野監督はそのことを理解した上で、他の考えを学ぶ大切さを説いた。「違う人の話を聞くとか指導を受けるっていうのはプラスになる。そういう考えで川相さんは守備をされていたんだとか、そういうふうにボールに対しての入り方をしていたんだとか」。現役コーチも必ず得るものがあるはずと力を込めた。

川相氏は当面、2月1日から第4クール終了の18日までの指導を予定している。今キャンプは4日に紅白戦が始まり、実戦も11試合を計画。試合展開、状況に応じた川相氏の守備論を聞く機会も多くなりそうだ。

川相氏は「まずはレギュラーで出る可能性が高い選手がしっかり守らなければゲームにもならないし、矢野監督の目指す野球もできない」と、主力の守備力アップを目指している。すでに昨年のミスしている場面の映像もチェック済みだ。

守備だけではない。川相氏のもう1つの武器、プロ最多533犠打を記録したバント技術も学ぶ。矢野監督は「図々しいけど、川相さんはバントもうまいので、ぜひぜひ教えていただける時間もあったらいいな」と楽しみにする。昨季阪神の犠打成功率は8割1分9厘でリーグトップの得意分野だが、さらに磨きをかけて相手に重圧をかける。

初の1軍キャンプに抜てきされた3年目の小幡は「自分はバントがヘタなのでしっかり聞きたい。心の持ち方も」と目を輝かせる。首脳陣も犠打王に学ぶことで、作戦面などに広がりが出る。矢野監督は「選手も俺らもプラスになる。楽しみ」と、共闘を待ちわびる。キャンプでの“川相塾”のテーマは、弱点の守備力向上と、長所のバント技術向上。両極アップに一役買ってもらい、16年ぶりVの力に変える。【石橋隆雄】