正捕手よ、出てこい! ヤクルトの古田敦也臨時コーチ(55)が5日、沖縄・浦添キャンプで指導を始めた。07年の退団から14年ぶりの復帰。初日は午前9時から午後5時まで、みっちりと鍛えた。

“つぶやき戦術”がさく裂した。ブルペンでは捕手陣の後ろで見守り「バッター岡本だったらどうする」「この球じゃ無理だな」「レフトスタンド消えたな」「今のはショートゴロちゃう?」と、“球界の頭脳”の内側を声に出し続けた。大切なのは打者との対戦をイメージすること。「このピッチャーにもう少しスピードあったらいいなとか、もう少し曲がる変化球があればいいなとか、落ちる球があった方がいいよとか、リクエストしなきゃいけない」と考える力を説いた。

全体練習後には、中村、西田、古賀、松本直に特守を敢行した。昨季は西田が62試合出場で最多。正捕手不在の現状に「今で言うと西田や中村とかは1歩リードしているのは間違いないが、その1歩が本人が思っているよりちっちゃな1歩だと。でかい1歩だったら追いつけないと思うけど、そういう意味では横一線とは言えないけど、みんなで切磋琢磨(せっさたくま)して欲しい」と、激しい競争を期待した。【湯本勝大】

▽ヤクルト高津監督(古田臨時コーチについて) バッテリーの強化はもちろん、キャッチャーの強化をすごく強く思っていらっしゃる。キャッチャーで勝つんだと。しっかりせえというところだと思います。

▽ヤクルト中村(ブルペンで古田臨時コーチと話し) 古田さんもこう考えていられるんだなと同じような意見もありましたし、新たな発見というのもあったので、勉強になりました。

○…古田臨時コーチが奥川恭伸投手に大きな注文をした。ブルペンで、自身の投球に不満顔の奥川を発見。「それくらいじゃないとね、もっと上を目指してもらわないといけないから。菅野になってもらわないとね」と笑顔を見せた。

視察に訪れた侍ジャパン稲葉監督も2年目の剛腕に好印象。「成長段階ではありますけど、いいボール投げてますし、非常に将来楽しみ」と期待していた。