巨人宮崎キャンプの8日、今季初の紅白戦が行われた。1、2軍混合メンバーでの対決。試合の勝敗よりも選手個々のアピール合戦が始まった。沖縄・那覇での2次キャンプに向けた1軍生き残り、1軍昇格をかけたサバイバルが本格化。実戦に入れば当然、結果が重視される。限られたチャンスをどう仕留めるか。勝ち抜くためのロジックは“鏡の中”にある。

09年以来のチーム復帰となった金杞泰2軍ヘッドコーチは連日バットを振り込む若手野手陣に「100%の努力なのか、そうでないのか。自分のスイング、プレーを客観的に見られるようになることが大事」と呼びかけた。特徴、長所、課題…。鏡に映っているかのように明確に想像できれば、アピールの成功率は格段に上がる。

阿部2軍監督は客観的な視点に同調した。「試合用のバットを打席ごとにきれいに拭く理由を若い選手には考えてほしい」。ヘッド部分に無数のボール跡や松ヤニ、土がついている選手に成長はないと断言した。「どこで打ったのか。どれぐらい芯からずれていたのか。自分の感覚とどれぐらい違うのか。バットをきれいにしておけば、インパクト時についたボールの跡が分かる。それを確認することが凡打だったとしても次の打席につながる」。鏡はなくても、バットに残ったボール跡が客観的根拠となる。

投手陣も例外ではない。桑田投手チーフコーチ補佐は「投げ終わった後にマウンドに答えが載ってると思ってる」と持論を提言した。投球後のマウンドのプレートから何足分を踏み出しているかを計測し、記録。削れ方や、土の掘れ具合から状態や調子を感じ取れると、宮崎キャンプ合流初日のブルペンに残った足跡を収集している。

気持ちだけが前のめりになっても結果にはたどりつけない。初実戦を終えた原監督は「ゲームのための練習をやっている。その練習の仕方を信じて、打者も投手もやることですね」と評した。鍛え上げてきた体、技を生かすためには客観的根拠に基づいたロジックが必要になる。【為田聡史】

▽巨人宮本投手チーフコーチ(紅白戦を振り返って)「1軍は、みんなそれぞれ自分のピッチングスタイルはできていた気がする。満足していますよ」

▽巨人桑田投手チーフコーチ補佐(紅白戦を振り返って)「桜井は、僕が初めてブルペンで見たときよりもすごく良くなっている。高橋は取り組んでいることをやりながら、1失点したけど良くなった」

▽巨人高橋(紅白戦に先発し1回1安打1失点)「結果もあまり良くない。1つ1つを見れば、いい悪いはある。先頭への初球、犠牲フライのところでも考えるところはあると思う」

▽巨人井上(紅白戦で先発して2回2安打1失点)「真っすぐはゾーンにはいったんですけど、まだまだ力が弱くて、簡単にはじき返されてしまった」

▽巨人桜井(紅白戦で2回無安打無失点)「3球で1ボール2ストライクという課題を持ちながらやった。意図しないところにボールがいくことがなかった」

▽巨人横川(紅白戦で2回1失点)「結果を残さないといけない立場なので、思い切って投げました。変化球のキレは自信があるので、それを生かすため真っすぐをより強く投げるべき」

▽巨人松原(紅白戦で3打数2安打)「去年は去年で1回区切って、今年はまたゼロからのスタートという形でやっていきます」

▽巨人中山礼都内野手(18=中京大中京、プロ初実戦で3打数無安打)「ずっとテレビで見ていた選手と間近でやれるというのは本当いい経験になりましたし、いい緊張感で試合に臨めました」