阪神取材班がキャンプで興味を持ったテーマ、事象を取り上げる随時企画「推しポイント」。第4回は巨人から移籍してきた山本泰寛内野手(27)の原点に迫る。内野全ポジションを守ることができるユーティリティープレーヤー。礎には守備の名手たちの言葉があった。古巣のG倒に燃える山本が、3年連続失策数「日本一」の虎を救う。

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シートノックのメモを見返すと、あることに気が付いた。2月1日は二塁、3日は遊撃、4日は三塁、6日は一塁…。山本の守備位置が日ごとに違う。内野全ポジションを守れるという特徴を持つが、役割も景色も違うだけに簡単じゃないはず。背番号「00」が忙しそうに見えた。

「いろんなところを守れた方が幅も広がると思いますし、チャンスも増える。どこでもできるように常に準備をしていきたい」

顔に汗を滴らせながらハツラツと語った。ユーティリティープレーヤーでいられるゆえんは何か。山本の過去に少しだけ迫った。

巨人時代のプロ1年目、当時の内野守備走塁コーチが井端弘和氏(現侍ジャパン内野守備走塁コーチ)だった。ゴールデングラブ賞を7度受賞した名手で、中日時代に荒木雅博氏と組んだ二遊間は「アライバ」コンビと呼ばれ、鉄壁だった。山本は新人の頃、井端氏に口酸っぱく言われた。

「油断したら、必ず後に返ってくる」

基本をおろそかにすると必ずボロが出るという、名手の心得を胸に刻んだ。「1年目の時に井端さんがコーチとして教えてくれたことが今の基礎になっています。すごく生きています」。派手なプレーはない。実戦はここまで5試合出場ながら失策は0。軽快な守備で持ち味を出している。

川相臨時コーチが巨人の2軍監督だった時も、基本練習の大切さを細かく指導された。「カバリングや(送球)カットのラインにしっかり入ったり。当たり前のことを徹底しろと常々言われています。改めてすごく大事だなと」。セ界王者巨人の血を持つ山本は、基本を重んじるからこそ内野を制覇できる。

「(巨人には)負けたくないし、今は阪神の選手なので。優勝して『阪神に来て良かったな』と思えるような役割をしたい」

現在3年連続で12球団ワースト失策の虎。山本の守備が、G倒のカギになると感じた。【只松憲】

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