意地の一撃だった。オリックスの「ベニー」こと、高卒2年目の紅林(くればやし)弘太郎内野手(19)が、プロ入り初本塁打をマーク。完敗試合で唯一の得点をたたき出した。

「打席に入る前に、打撃コーチと中嶋監督に『切り替えていけよ』と。しっかり芯で捉えられ、いい感触でした」

高め直球を振り抜いた。4点を追う7回。最速162キロ右腕ギャレットの8球目、153キロ直球をはじき返すと、打球は左中間席に着弾。だが19歳が表情を緩めたのは、一瞬だけだった。「前の打席にチャンスで凡退してふがいなかった」。2回1死二、三塁の好機に空振り三振。4回にも空振り三振に倒れた。「もっと確率を上げていきたい」と満足はなかった。

安達のコロナ罹患(りかん)もあり、26日の西武戦でスタメン起用され、球団初の「10代開幕遊撃」で名を刻んだ。独特の雰囲気にのまれ「ガチガチに緊張していた。守備もエラーのつかないものもあった」と振り返る。だが、開幕1軍こそ目指してきた晴れ舞台。3戦目で持ち味を発揮し、01年度生まれの選手では初アーチのおまけもつけた。

中嶋監督は紅林について「チャンスで打てず、おかしくなりかけていた。1本が出たのは大きい」と評価。開幕カードは10年連続負け越しが決まったが、19歳の1発に希望を見いだした。30日からは王者ソフトバンクを本拠地に迎える。指揮官は「離されないように。絶対に(勝率)5割を死守しながら。京セラに帰って、どうにかします」ときっぱり。まずは5割に戻して逆襲を期す。【真柴健】

 

◆紅林弘太郎(くればやし・こうたろう)2002年(平14)2月7日生まれ、静岡県出身。駿河総合では1年夏から中軸を担い、高校通算40本塁打。19年ドラフト2位でオリックス入団。昨季11月3日楽天戦で放ったプロ初安打は、球団では89年高嶋徹以来の高卒新人初打席安打。11月6日の日本ハム戦では5回に決勝タイムリーを放ち、同期入団の宮城にプロ初勝利をプレゼントした。186センチ、95キロ。右投げ右打ち。

 

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