北東北大学野球春季リーグが17日、岩手・花巻球場で開幕する。昨秋に34度目のリーグ優勝に輝いた富士大(岩手)は、ノースアジア大(秋田)との開幕節に挑む。チームの目標は「日本一」。主将の山城響内野手(4年=知念)が、18年以来の全日本大学野球選手権(6月7日開幕、神宮、東京ドーム)出場と選手権初優勝を狙うチームをけん引する。

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富士大・山城が20年秋に続く春優勝に導き、自身2度目の選手権切符をつかむ。入学後の18年春からリーグ戦デビューし、選手権初戦の中京大(愛知)戦では「2番遊撃」として3打数1安打(三塁打)を放つも、初戦敗退した。あれから3年。今春からは過去に西武外崎らが着用した伝統の背番号10を背負う。「背番号に恥じないプレーを心がけたい」と、気持ちを引き締めた。

同大は14年春から18年秋までの10季でリーグ史上初の“V10”を達成した強豪。西武山川、楽天鈴木翔らをプロに輩出し、南国沖縄出身の山城は「1学年上の先輩が富士大に進学し、同じ沖縄で西武の山川さんや多和田さんが入学して、沖縄では知名度があるので」と、さらなる成長を夢見て進学を決意した。2年時の19年春から3季連続で優勝を逃すも、昨秋は3番として王座奪回の原動力に。リーグ戦後の東北地区大学野球王座決定戦では、東日本国際大(福島・南東北)、東北福祉大(宮城・仙台6大学)との全2戦で本塁打を放ち敢闘賞を獲得した。

選手権切符のラストチャンスは兄弟で奪取する。弟裕飛外野手(3年=知念)も主力として活躍しており「一緒に野球をやる最後の年なので、一緒に全国に行って1勝したい」と響。最後の春は有終の美で飾る。「今年の目標は選手権に出るだけではなくて、選手権で勝つことがチームの目標」。富士大の選手権最高成績は09年の準V。自慢の打撃で快音を響かせ、V2の立役者となる。【相沢孔志】

○…昨夏の宮城県独自大会で東陵(宮城)を4強に導いたエース左腕・佐藤柳之介(1年)は、北東北大学野球リーグの強豪大でプレーする。同夏は34回2/3で41奪三振をマーク。「宮城のドクターK」は「状況に応じて三振は狙いたいが、三振を取ると球数が多くなる。打たせて取る投球スタイルも覚えないといけない」と、さらに投球術を磨き上げていく。

昨夏以降は、進学後の飛躍を見据えてウエートトレーニングなどで筋力面、柔軟性を強化。持ち味の直球は最速144キロに伸ばした。「1年生からリーグ戦で投げられるように、1日1日を大切にして頑張りたい」と気持ちを新たにした。

大学4年間の目標は、勝てる投手になることだ。「高校の監督から『チームを勝たせられる投手になりなさい』と、高校2年生の頃から言われていた。自分はずっと目標にしたい」。日本一を掲げるチームのために、左腕を振り続ける。