ルーキーの一打から首位阪神が巨人に競り勝ち、今季最大の4・5ゲーム差をつけた。1点を追う4回にマルテの8号ソロで追いついた直後、巨人戦初4番の佐藤輝明内野手(22)が右中間フェンス直撃の二塁打を放ちチャンスメーク。梅野隆太郎捕手(29)の決勝適時打で生還した。阪神の新人が巨人戦で4番を務めるのは史上4人目で、安打を放ったのは39年以来82年ぶり。今日15日に迎える「伝統の一戦」通算2000試合に弾みをつけた。

  ◇  ◇  ◇

佐藤輝が、伝統の一戦に「4番」として乗り込んだ。4回、3番マルテの同点ソロでスタンドがざわめく中、近大の先輩、巨人畠の初球、低め137キロカットボールに体を沈める。払うようにとらえると、低いライナーは失速することなく中堅フェンスを直撃。三進後、梅野の中前適時打で勝ち越しのホームを踏んだ。

「1本出て、それが点につながったんで、それが一番良かった」。阪神の新人が巨人戦で4番を務め、安打を記録したのは82年ぶり。歴史に名前を刻んだ。

この日は1万3873人のファンが入った。三塁側には黄色い虎党の姿も多く、佐藤輝が打席に入る時の拍手は誰よりも大きかった。3試合連続安打で「6番右翼」だった前回、4月22日の東京ドームでの巨人戦から17試合連続出塁と、チャンスメークの役割も果たし続けている。

4番が出塁すれば「得点圏の鬼」がかえす。2死一、三塁から7番梅野が中前に決勝適時打を放った。「みんながつないで作ってくれたチャンスでしたし、何とかヤギ(青柳)の援護をしたかったので、打つことができてよかった」。得点圏打率5割3分8厘は12球団断トツ。マルテ、佐藤輝、サンズ…。重厚な中軸の後に、こんな「恐怖の7番」が控えているから、リーグトップの得点力が生まれる。

15日は「伝統の一戦」通算2000試合目のメモリアルゲーム。4番で迎える佐藤輝は「やっぱり巨人は倒さないといけない相手だと思うんで、まあ、集中して連勝できるようにやっていきたい」と誓う。6戦ぶりの11号が飛び出せば、巨人戦初、東京ドーム初となり、セ本拠地6球場制覇となる。新人の左打者では、93年巨人松井秀喜氏にも並ぶ。伝統の一戦で数々のアーチを放ち、ドラマを演じてきた「ゴジラ松井」のように、虎の新怪物テルが、新しい伝説をつくる。