楽天則本昂大投手の圧倒的な存在感がよみがえってきた。1回、先頭の日本ハム西川への初球は重量感たっぷりの150キロ直球。追い込んだ後は138キロのフォークで空振り三振を奪った。

ウイニングショットの質に手応えを感じ始めている。「それに近いのではないかなと思います」。“それ”とは17年シーズンに投げていたフォークのこと。4年前は15勝を挙げ、キャリアハイのシーズン222奪三振。当時の無双ぶりを生み出していた宝刀が、ついに切れ味を取り戻した。

今季の開幕直後はチェンジアップを多投していたが、4月中旬にはフォークを解禁。「フォームが安定したりとかもありますし、投げていって『今のだな』というのが出てくる」と、投げる度に感覚が研ぎ澄まされ、ついに前回登板では今季初の2桁奪三振をマーク。フォークが決まれば、直球もスライダーも効果を増す。この日も6回2安打2失点9奪三振で、全てがウイニングショットになった。

19年に右肘手術も受けるなど苦しんだ時期もあったが、いよいよ完全復活の気配。14年シーズンから5年連続で最多奪三振のタイトルを獲得した豪腕ぶりは、豪華な先発陣の中で輝きを増している。【木下大輔】